NoName

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良い思い出も悪い思い出もたくさんあった
気付けば遠くの方で埋もれていて
思い出せるものは随分と少なくなった

その中でも今も覚えているのは
いつも一緒に帰っていた友達に
「今日は一人で帰りたいから」
とぶっきらぼうに言い放ち
すたすた帰ってきてしまったことだ
転校を繰り返し大人しくなった私は
同じく大人しい彼女と一緒にいることで
安心していた
それがあの日…
どうしようもなくむしゃくしゃして
虫の居どころの悪い私の精一杯の抵抗
それをくらってしまったのが
たまたま彼女だったのだ

きっと今謝っても彼女は覚えていないだろうし
小さな私たちの日常の一部でしかなかったとも思う
だけど彼女の驚きと困惑が入り混じった表情を
私はずっと覚えているだろう…

7/7/2024, 9:03:50 AM