柚葉 シクフォニヲタク

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7/5/2024, 8:07:18 AM

神様だけが知っている。

僕に隠し事があること、
僕に好きな人がいること、
僕はもうこの風景を見なくなること。

学校で独りで弁当を食べていると───

「あ、あのさっ。」

振り返ると、僕の好きな人、海花だったんだ。

『なに?』

「私ね、壮くんのこと、好きっていうか…」

彼女は、照れて下を向く。

『そっか。』

「だ、だから、一緒に、どこか行きたいな…って。」

『いいよ。この後行こっか。』

「え、でも、壮くんって、生徒会の仕事…」

『大丈夫。もう終わってる。』

「すごっ!さすが壮くんだね!」

やっぱり、優しい海花が好きだった。

『最期になるかもだけど…』

「なんて?」

『…なんでもないっ!』

神様。僕に時間をください。
彼女と、共にいる時間を。

彼女が…海花が笑ってくれるまで…

海花は、僕の手を引いて、走った。

その姿は、美しかった。

「はーやーくっ!いくよっ!」

『う、うん』

…デート的な付き合いの後。

「どうしたの?」

『…海花。』

「なぁに?」

『…大好き。』

僕はそう言って海花を抱きしめた。

海花は、ちょっとびっくりしてたけど、すぐに笑って受け入れてくれた。

あぁ、彼女の笑い顔が見れた。
神様。僕はもう十分です。

───神様。

『ばいばい。』

僕は目を閉じた。
それから何があったかは分からない。

神様、また海花と巡り逢いたいです。

神様だけが知っている。

僕と海花が、付き合ったこと。

7/3/2024, 10:38:55 AM

「進まないで。」

背の後ろから声がした。

「戻ってきて!」

何処かで聞いたことがある声…

『なんで?』

「いいから。」

振り返ると、誰もいなかった。

『…変なの。』

怖かったので、引き返して帰ることにした。

「おかえり。ありがとう。」

また、何処かで声がした。
さっきの声だった。

『ねぇ、あんた誰なの?』

イライラしだして、呆れながら聞いた。

「私はね────」

え?

『「星那」?』

「そうだよ。久しぶり。」

星那は、私の双子の妹。
そうだ。
あの道の先で亡くなったんだ。

『ごめん…』

声も思い出せない、怒り出すと、迷惑なことを沢山した。私は泣きながら謝った。

「いいんだよ。」

私を許す、優しい妹。
大好きだった。
私が泣くと、星那も泣いた。
私が風邪をひくと、星那も風邪をひいた。

私たちってさ…

私…たちって…さぁ…

『なか…よし…だった…よねぇ…』

星那の声はしなくなった。
私は沢山泣いた。
声が枯れるぐらいまで叫んだ。

『ありがどう…!』

『わだじ…がんばるね…!』

星那、見てるよね。
お姉ちゃん、頑張るよ。

…星那。

『星那。』

『頑張るから。』

「うんっ!」

6/30/2024, 12:07:40 PM

おばあちゃん。
おばあちゃんが縫ってくれた赤い服、大好き!

「大切に使ってね。」

『うん!』

大事に使うよ!

「それじゃあ、行ってくるよ」

『どこいくの?』

「ちょっと、買い物に。」

『私も行く!』

昔は、鬱陶しいくらいおばあちゃんが好きだった。
───今になると、恥ずかしい。

5年前。
私が小学二年生の時のこと。

『おばあちゃん?』

『おばあちゃん、おーい!』

擽ってみると、びっくりする位 体が冷たかった。

『おばあちゃん?おばあちゃん…』

仕切りに目を擦る私。
これは夢?それとも、ドッキリ?

亡くなるおばあちゃんを受け入れられず、冗談だと信じ込んだ。

『そう…だよね。私ったら。』

でも、次の日になってもおばあちゃんは起きない。

『おばあちゃん…私、死んじゃうよぉ…』

私は、3歳の頃、おばあちゃんに預かられた。
おばあちゃんは優しくて、甘えていた。

───起きてよ。

私が周りに助けを求める。

男の人が、救助隊をよんでくれた。

おばあちゃんは運ばれた。

私は、泣きながら見送った。

その男の人が、私を引き取ってくれた。
名前は、「綾斗」って言うんだって。

2年後、お墓参りに行った。
おばあちゃん。まだあの赤い服、大切に使ってるよ。ほつれているけど、不器用な私の手じゃ直せないやwほつれた「赤い糸」を持ち、墓にそっと添えた。

赤い糸、大切に使ってね。

なんて、照れくさい。

でも、私は嬉しかった。

『おばあちゃん、また逢おうね』
物 語
それが、私の13年間のストーリー。