柚葉 シクフォニヲタク

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「進まないで。」

背の後ろから声がした。

「戻ってきて!」

何処かで聞いたことがある声…

『なんで?』

「いいから。」

振り返ると、誰もいなかった。

『…変なの。』

怖かったので、引き返して帰ることにした。

「おかえり。ありがとう。」

また、何処かで声がした。
さっきの声だった。

『ねぇ、あんた誰なの?』

イライラしだして、呆れながら聞いた。

「私はね────」

え?

『「星那」?』

「そうだよ。久しぶり。」

星那は、私の双子の妹。
そうだ。
あの道の先で亡くなったんだ。

『ごめん…』

声も思い出せない、怒り出すと、迷惑なことを沢山した。私は泣きながら謝った。

「いいんだよ。」

私を許す、優しい妹。
大好きだった。
私が泣くと、星那も泣いた。
私が風邪をひくと、星那も風邪をひいた。

私たちってさ…

私…たちって…さぁ…

『なか…よし…だった…よねぇ…』

星那の声はしなくなった。
私は沢山泣いた。
声が枯れるぐらいまで叫んだ。

『ありがどう…!』

『わだじ…がんばるね…!』

星那、見てるよね。
お姉ちゃん、頑張るよ。

…星那。

『星那。』

『頑張るから。』

「うんっ!」

7/3/2024, 10:38:55 AM