神様だけが知っている。
僕に隠し事があること、
僕に好きな人がいること、
僕はもうこの風景を見なくなること。
学校で独りで弁当を食べていると───
「あ、あのさっ。」
振り返ると、僕の好きな人、海花だったんだ。
『なに?』
「私ね、壮くんのこと、好きっていうか…」
彼女は、照れて下を向く。
『そっか。』
「だ、だから、一緒に、どこか行きたいな…って。」
『いいよ。この後行こっか。』
「え、でも、壮くんって、生徒会の仕事…」
『大丈夫。もう終わってる。』
「すごっ!さすが壮くんだね!」
やっぱり、優しい海花が好きだった。
『最期になるかもだけど…』
「なんて?」
『…なんでもないっ!』
神様。僕に時間をください。
彼女と、共にいる時間を。
彼女が…海花が笑ってくれるまで…
海花は、僕の手を引いて、走った。
その姿は、美しかった。
「はーやーくっ!いくよっ!」
『う、うん』
…デート的な付き合いの後。
「どうしたの?」
『…海花。』
「なぁに?」
『…大好き。』
僕はそう言って海花を抱きしめた。
海花は、ちょっとびっくりしてたけど、すぐに笑って受け入れてくれた。
あぁ、彼女の笑い顔が見れた。
神様。僕はもう十分です。
───神様。
『ばいばい。』
僕は目を閉じた。
それから何があったかは分からない。
神様、また海花と巡り逢いたいです。
神様だけが知っている。
僕と海花が、付き合ったこと。
7/5/2024, 8:07:18 AM