あなたとわたし
一卵性双生児で生まれた瓜二つの美人姉妹
親も見分けがつかなかった。
生まれたときから、どこでも一緒で、趣味も一緒だった
高校生になってからは、少し離れることが多くなった
お姉ちゃんは運動部、私は文化部
でも時間があればいつも一緒だったよね
けれど、私に彼氏ができてから変わってしまった
なんだかお姉ちゃん、よそよそしくなった
私は寂しかったけど、我慢した。
いい大人だから、一緒にいるわけにはいかないから
でも心はずっと一緒だったよ
だけど今のお姉ちゃん怖いよ
お姉ちゃん、前の優しいお姉ちゃんに戻ってよ
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私は一気にまくし立てる間、お姉ちゃんはずっと目を閉じていた
息継ぎも忘れて喋ったため、呼吸が荒くなる
するとお姉ちゃんは、閉じていた目を開けて、厳かに告げた
「言いたいことは以上か。じゃあ続けようか」
「まって、こんなのおかしいって」
「じゃかあしい。ダイエットしないと彼氏に嫌われるって言ったのあんただろ」
「僻み入ってるでしょ」
「当たり前だ。先に彼氏作りやがって。だいたい彼氏優先したのお前のほうだろ。腕立て伏せ、もうワンセットだ。始めろ」
雨の中を歩いていた。
折りたたみ傘を持っていたが、使う気はなかった。
あまり雨が強くないというのもあるが、そんな気分ではないのが大きい。
大好きな恋人と喧嘩して別れた。
原因は向こうの浮気。
裏切られたという事実は私を打ちのめした。
雨が降ってきても、傘を出す気力が湧かなかった。
土砂降りであれば、いっそ清々しくなるのだろうが、ずっと弱い雨だった。
濡れるか濡れないかというような、柔らかい雨。
もしかしたら雨が慰めてくれてるのかもしれない。
おせっかいと感じるが、きっと気の所為なのだろう。
だけどそんな考えに至ってしまった自分に、ちょっとだけおかしくて笑ってしまった。
気がつくと雨は止んでいた。
雲の切れ間から陽の光が差し込み、大きな虹が架かっていた。
あまりのおせっかぶりに、おかしくなってしまう。
そして晴れていく空のように、私の気持ちも晴れ渡っていく。
新しい恋を頑張ろう。
そう思うのだった。
夜、街を歩いていると空の方に一筋の光のようなものが見えた。
なにかと思い、空を見上げてみると光の筋がまた見える
流れ星だった
それを見て、願い事をしようとして、やめた。
願い事をとっさに思いつかないのもあるが、そんな年でもない。
そう思っていると、また流れ星が光る。
なんだか流れる星が、願い事を催促してるような錯覚を覚える
また流れ星。
段々願い事をしないことが悪いことのような気がしてきた。
そこまで言うならと、願い事を考えると、叶えて欲しい願い事がたくさん思い付く。
色々考えてふとイタズラを思いつく。
ワクワクしながら、流れ星を待つ。
そして流れ星を発見し、すかさず願い事をする
「流れ星を沢山ください」
そして星空を眺めるが、何も起こらなかった。
まあそうだよな。
そう思って歩き出そうとすると、空のほうが明るくなる。
慌てて空を見ると、その景色に驚く。
「まさか本当に願いが叶うとは」
惜しいことをしたと想いながら、星空を埋め尽くした流れ星をずっと眺めていた。
「やった完成だ」
「博士、何ができたのですか」
「助手か。見てくれ。これが哀愁をそそるサソリだ」
「哀愁をそそるサソリですって!?」
「色々な角度で見るといい」
「本当だ。どの角度からも哀愁をそそられます」
「フハハハ。どうだ天才だろう」
「天才です。博士は世界一天才です」
「そうだろうそうだろう。フハハハ。はあ、虚しい」
博士は近くにあった椅子に座る
「こんなもの作って何になるというのか」
男はがっくりと肩を落とす。
「いえどこかに需要ありますって。多分」
助手は博士を励ますが、言い切ることはできなかった。
「諦めてはいけません。足掻きましょう」
「助手よ。若いな」
「いけません、博士。諦めたらそこで試合終了です」
「無理だよ」
「大丈夫です。私がついてますから、さあ行きましょう」
そして部屋にはサソリ以外誰もいなくなった。
サソリは静かになった部屋で、自分の存在意義を考えてようとして、やめた。
何度か考えたが、意味がないとしか思えなかったからだ。
サソリは世界が赤く染まっていることに気がついた。
ケースの周囲を見渡して、夕日を見つける。
そしてサソリはずっと夕日を眺めていた。
夕日が沈むまで、ずっと。
ps
哀愁をそそるってどういう意味なんですかね。
だれか教えて欲しい
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰?」
「それは白雪姫です」
鏡は答える。
私はもう一度同じ質問をする。
「もう一度聞くわ。鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰?」
「それは、もちろん貴方様、白雪姫であります」
私はその答えを聞き、私は笑うのを堪えられなかった。
そう私が世界で一番美しいのだ。
この鏡は正直だ。必ず世界一美しい女性が映る。
稀に私以外に映ることがあるが、すぐに間違いを正すことにしている
するとまた私が映るのだ。
こんなに気分のいいことはない。
かなりお金をかけることになったが、問題ない。
私が世界で一番美しいことが重要なのだ。
鏡を見る。
やはり私は美しい。
鏡の中の自分は、血と錯覚するほど真っ赤なドレスを身にまとい、邪悪な笑みを浮かべていた。