G14

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「やった完成だ」
「博士、何ができたのですか」
「助手か。見てくれ。これが哀愁をそそるサソリだ」
「哀愁をそそるサソリですって!?」
「色々な角度で見るといい」
「本当だ。どの角度からも哀愁をそそられます」
「フハハハ。どうだ天才だろう」
「天才です。博士は世界一天才です」
「そうだろうそうだろう。フハハハ。はあ、虚しい」

 博士は近くにあった椅子に座る
「こんなもの作って何になるというのか」
 男はがっくりと肩を落とす。
「いえどこかに需要ありますって。多分」
 助手は博士を励ますが、言い切ることはできなかった。
「諦めてはいけません。足掻きましょう」
「助手よ。若いな」
「いけません、博士。諦めたらそこで試合終了です」
「無理だよ」
「大丈夫です。私がついてますから、さあ行きましょう」

 そして部屋にはサソリ以外誰もいなくなった。
 サソリは静かになった部屋で、自分の存在意義を考えてようとして、やめた。
 何度か考えたが、意味がないとしか思えなかったからだ。
 
 サソリは世界が赤く染まっていることに気がついた。
 ケースの周囲を見渡して、夕日を見つける。
 そしてサソリはずっと夕日を眺めていた。
 夕日が沈むまで、ずっと。




ps
 哀愁をそそるってどういう意味なんですかね。
 だれか教えて欲しい

11/5/2023, 8:30:57 AM