G14

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9/30/2023, 12:14:24 PM

きっと明日も今日と同じ
それは避けられない

ある日親に欲しいものを聞かれて、正直に答えた
初めは嬉しかった
二日目も幸せだった
三日目でおかしいと思った
四日目でもう嫌になった
明日で五日目、もういらない
望んだものとはいえ、何日も同じだと嫌になる
これをリクエストしたあの日の自分を殴ってやりたい
ああ神様、もしも願いが叶うなら、
カレー以外のものを食べさせてください

9/29/2023, 3:01:41 PM

彼は待っていた。
物音ひとつしない、静かな部屋で。
誰か特定の人間を待っているわけではない。
いつ来るかも知らない。

家が立派というわけではない。
ここは打ち捨てられた廃墟である。
それでも、たくさんの人々が彼のもとにやってくるのだ。

彼は一体何者だろうか。
その答えは幽霊である。
それも、どちらかといえば悪霊の類の。
幽霊なんて怖くないと言って、肝だめしにやってくる若者を驚かせていた。

彼は生きている間の頃は覚えていない。
おそらく自殺だったと思う。
しかし幽霊として自我を得た。
これを第二の生と捉え、彼は幽霊としてふさわしい振る舞いをすべきと考えた。
そして、ここにやってきた人間を驚かせていた。

彼は充実していた。
噂が噂を呼び、たくさんの人間がやってきた。
その全員に叫び声を上げさせた。
そしてこれからも、そうするだろう。

彼は遠くで誰かの気配を感じた。
また誰かが肝だめしにやってきたのだ。

彼は待つ。
誰かがこの部屋の来ることを。

彼は静寂に包まれた部屋で待っている。

9/28/2023, 1:21:41 PM

ひどく気が重い。
なぜなら、今から世界で一番愛している彼女が遠くに行ってしまうからだ。
「電車出るからもう行くね」
向こうに行こうとする彼女の手を取る。
「離れたくない」
「でも、仕方のないことなの」
彼女は呆れたように笑う。
「君を一人にするのは不安なんだ」
「大丈夫よ。みんないい人だから」
今度は僕を諭すように笑う。
「でも君にさみしい思いをさせるわけには‥」
「ハイハイ、分かったから。じゃあもう電車出るから」
そう言って、簡単に僕の手を振り解き、さっさと駅の改札口に向かっていってしまった。
そっけない。彼女は僕に未練はないのだろうか。
やはり、もう一度話合うべきでは?
考え事をしていると、彼女が踵を返して戻ってくるのに気がついた。
何事かとかと思っていると、
「ごめん忘れてた」
そう言って、僕のほっぺたにキスをする。
「行ってきますのちゅー。晩ごはん期待してるからね」

9/27/2023, 9:46:01 PM

「よう、久しぶり」
雨宿りをしていると声をかけられた。
そして声の主の顔を見た瞬間、深いため息がででる。
「この雨、お前の仕業か」
「いい雨だろ」
「悪い雨だよ。おかげでずぶ濡れだ」
僕の反応に、奴は面白そうに笑う。
何を隠そう、こいつはとんでもない雨男である。
イベントのたびに雨を降らすやつで、天気予報より正確な男と呼ばれた。
あまりの雨男っぷりに、国際機関からスカウトされた。
今では雨の降らない地域に趣き、雨を降らすため世界中を回っている。
「重大な使命はどうしたのさ」
「あー、頑張ったかいあって、水に困ってるとこがなくなってね。必要とされるのは当分先だな」
半分は本当である。でも、
「‥スランプって聞いたぞ」
「知ってたのか。最初らへんは歓迎パーティしてくれるの楽しかったんだけどな。流石にずっとやってると飽きちゃって」
「お前、ひどいやつだな。飽きたって」
「仕方ないだろ。流石に毎日パーティやれば日常だよ」
「パーティ飽きたって言ってみてぇ」
二人で笑い合う。
「いつ帰ってきたの」
「昨日だ」
「嘘つけ。先週に歓迎パーティやったの知ってるんだからな」
一ヶ月くらい雨が降らず、水が足りなくなるかもっていうんで、こいつが呼ばれたのだ。
降らなかったけど。
おや?
「そういえば、この雨なんだ」
「あー、なんというか。久しぶりに友達と会って嬉しかっというか、テンション上がったというか」
「お前、会わない内に恥ずかしいこと言えるようになったのか」
こっちが恥ずかしい。
「お、俺もう帰るわ。恥ずかしすぎる」
と言って雨に濡れながら帰っていく。
「またな。次の歓迎会みんなで押し掛けるから覚悟しとけ」
と言うと、あいつは手を上げて返事をして、そのまま行ってしまった。
自分は、濡れたくないのでそのまま雨宿りする。
と考えていると、急に晴れてきた。
昔から足が早いやつだった。
あの様子だと、そのままあちこちに雨を降らせるのだろう
通り雨みたいなやつだ。
そう思いつつ、水たまりだらけの道に足を踏み出した。

9/26/2023, 9:27:56 PM

「探せ、今日のテーマは秋だ」
ここは脳内会議所。今かつてないほどに怒号が飛び交っていた。
「いくら出不精部屋の一人暮らしでも、秋らしいものの一つくらいあるはずだ。部屋中を探せ」
秋🍁というテーマは意味が広すぎる。なにかきっかけを探すために部屋を捜索を開始した。

いつまでたっても何も出てくる気配がない。
「こちらアルファ。ありません」
「コチラベータ、同じく見つからない」
「ガンマだ。だめだ。ないぞ。この部屋の主は秋の気配を感じていないのか?」
部下たちが弱音を吐く。
「泣き言は任務を終えてからにするんだな。探せ。見つかるまで帰れんぞ」
挫けそうになる部下に発破をかけるが、正直自分も諦めそうになる。
「調子はどうかね」
声の方へ振り向く。司令官だ。
「は、部下も頑張っていますが進捗はよくありません」
「ふむ、仕方あるまい。今回はダジャレでも良いものとする。多少強引でも良い」
「ありがとうございます。聞こえたなお前ら。ダジャレでもよいとのことだ。気合い入れろ」
「「「ラジャー」」」
部下たちは捜索を再開する。

しばらくしても部下からの報告はない。
無理か。撤退の言葉が頭をよぎる。だめだ、弱気になってはいけない。
「ありました」
沈みかけた思考が、部下の声によって引き戻される。
「よくやったアルファ。ものは何だ」
「洗面所の鏡に映る自分です」
「なに、なぜそれが秋になる?オチをつけてみろ」
「毎朝見る自分の姿は、もう飽き(秋)がきました」

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