「探せ、今日のテーマは秋だ」
ここは脳内会議所。今かつてないほどに怒号が飛び交っていた。
「いくら出不精部屋の一人暮らしでも、秋らしいものの一つくらいあるはずだ。部屋中を探せ」
秋🍁というテーマは意味が広すぎる。なにかきっかけを探すために部屋を捜索を開始した。
いつまでたっても何も出てくる気配がない。
「こちらアルファ。ありません」
「コチラベータ、同じく見つからない」
「ガンマだ。だめだ。ないぞ。この部屋の主は秋の気配を感じていないのか?」
部下たちが弱音を吐く。
「泣き言は任務を終えてからにするんだな。探せ。見つかるまで帰れんぞ」
挫けそうになる部下に発破をかけるが、正直自分も諦めそうになる。
「調子はどうかね」
声の方へ振り向く。司令官だ。
「は、部下も頑張っていますが進捗はよくありません」
「ふむ、仕方あるまい。今回はダジャレでも良いものとする。多少強引でも良い」
「ありがとうございます。聞こえたなお前ら。ダジャレでもよいとのことだ。気合い入れろ」
「「「ラジャー」」」
部下たちは捜索を再開する。
しばらくしても部下からの報告はない。
無理か。撤退の言葉が頭をよぎる。だめだ、弱気になってはいけない。
「ありました」
沈みかけた思考が、部下の声によって引き戻される。
「よくやったアルファ。ものは何だ」
「洗面所の鏡に映る自分です」
「なに、なぜそれが秋になる?オチをつけてみろ」
「毎朝見る自分の姿は、もう飽き(秋)がきました」
9/26/2023, 9:27:56 PM