#毎日の小説の題名で長編小説に! #恋愛
#余命1ヶ月22日
私は、あの夜逃げてしまった。
私の判断が間違っていたことには
息が切れて走れなくなったころに気づいた。
彼が追いかけて来てくれるはずもなく、
私は、無事家に着いた。
だからってすぐ眠れるわけもなく、
寝られたのは1日を越えていたと思う。
だから、今日の朝はとても眠くて。
学校に行った。
先日休んだからって誰かが反応してくれるわけもない。
仲良くする気もない。私がいてもいなくても
誰かの生活が変わるわけでもない。
彼は、学校に来ていなかった。
そんなことを確認している私はおかしいと。
……あぁ、やっぱり私は
彼のことが好きになっていたんだ。
彼のクシャッとした笑顔が好き。
彼の人を笑わせる力も好き。
彼の部活への情熱も好き。
彼とのLINEで使っているスタンプも
数少ないコインで買った。
彼は、私がそのスタンプを使ったとき、
[同じの買ってくれたんだ!嬉しい。]
彼の反応が楽しみで、彼の反応が嬉しくて。
『あ…』
そういえば、そろそろ約束の遊ぶ日だ。
今は、彼に
『会いたくないな。』
誤解されたなら、誤解させとけばいいんじゃない。
彼は、どうせ“死ぬ”んだし。
そう、そうだったんだよ。
彼には、関わらないほうがいい。
私といると、楽しくないし、
近づかれても、嬉しくないし。
彼には、
命が燃え尽きるまで
笑顔で生きてほしいから。
私は、1人で泣いていた。
そして、1人で生きると決めた。
【命が燃え尽きるまで】#8
#毎日の小説の題名で長編小説に! #恋愛
#余命1ヶ月23日
『はあ…』
結局、夜までつきあわされた。
知らんおじさんの前でニコニコするの意外と
体力いる。なんなら、普通の運動よりキツい。
私の豆腐メンタルが……。
ピロン!ピロン!……
『ん…』
やっば、半分寝てた。
誰だよ。LINEにメッセージ送りすぎだろ。
は、だれ、まじで。眠。
返事しとかんとな。
『は…?』
重い体を起こすと、ありえんメッセージが届いてた。
彼からのメッセージだった。
[これから、会えない?]
え?なんで?
これ、きたの。22:43。
『今の時間…!』
23:01。あ~!寝てんなよ!私!
楓山公園か。近いから、言ってみよ!
急いでいったら会えるかも!
『ハアハア……』
やば。久しぶりに走ったかも。
……誰かいる?
暗すぎて見えん。……男かな?
彼だったらいいけど。今の時間、23:24。
全然足遅いし、私。走ってもだめだったわ。
それにしても、私、夜のほうが好きだな。
なんか世界に立ってるって感じする。
なんだか世界がきれいに見える気がする。
なんだかせかいを好きになれる気がする。
でもやっぱり彼に会いたかったな。
『……会いたかったな』
……待って、誰か走ってくる…怖。
いや。待って。まじ。
「……来てk……」
『いや、あのちょっと通報しますよ!』
スマホ持ってないけどぉ〜!
「いや…ちょ……」
『私、ホントに無理です!』
『好きな人いるんで!』
「………は。」
『ビクッ』
さっきと違う声色だったから。
顔を上げると、機嫌の悪そうな彼がいた。
コレがのちに
〈夜明け前の誤解〉となるのだった。
【夜明け前】#7
#毎日の小説の題名で長編小説に! #恋愛
#余命1ヶ月24日
今日から学校!
………のはずだった。
なのに、葬式に行くことになった。
誰なのかは知らない。
聞くと、顔も合わせたことがないらしい。
でも、行かないといけないらしい。
学校に行きたいと言っても聞く耳を持ってくれなかった。
“彼”にも時間がないのに。
……………………………………………………………………
彼女が今日、学校に来なかった。
彼女に約束の話を聞きたかった。
彼女なら、約束を破りそうだと思った。
そうだな『ごめん!熱出た。』とか言って
断って来るんだろうな。
「(笑)」
想像するだけで面白い。
彼女は、明日から学校に来るだろうか。
彼女は、何が好きなのだろうか。
彼女に、大声でLINEの話をすると
どんな反応をするのだろうか。
「…い!ぉ…い!おい!」
「…んだよ。」
「いや、ずっと呼んでたんだけど。」
「マジ?」
「マジ!」
いや、なんにも聞こえなかったけど。
「何、考えてたんだよ!(笑)」
「なにって…」
ずっと彼女のこと。
「/////ッッ!」
「え?マジ、どしたん?」
「いや、///」
俺は、あの子に恋……いや、
本気の恋をしてたんだ。
【本気の恋】#6
#毎日の小説の題名で長編小説に! #恋愛
#余命1ヶ月25日
だから、私は大切な人は作らない。
しかも、もう死ぬとわかっているなら尚更だ。
失いたくない。だから、関わらない。
その気持ちとは裏腹に私はもう一つの
考えが頭によぎった。
彼なら、大丈夫。それに私も付いてるし。
彼とは、そんなに話したことがないのに、
そんな信用が私にあったらしい。
本当に信じていいのか。
……また、死ぬかも。
私にはもう何も残らない。
『……大丈夫だよ。』
誰!?
そこには、誰もいなかった。
私にはわかった。アレは、“兄”だと。
私はカレンダーをめくった。
今日は、兄の命日。
そっか……信じてみてもいいのかも。
あんなにぐるぐる考えていたのに、
今の私はとてもスッキリしていた。
私はまたカレンダーをめくる。
明日から、学校。少し待ち遠しい…かも。
彼に合うことができたら、声をかけよう。
ピロン!
……誰かからLINEが来たみたい。
私は、あまり知り合いがいない。つまり、陰キャ。
どうせ家族だろう。そう、画面を開いた。
『ッッ!!?』
彼からのLINEだった。
内容は、[今度、遊べない?!]とのことだ。
私は、悩みに悩んだ。
結局、これはチャンスだと思うことにし、
[来週の日曜なら。]
と返した。しばらくすると、
[ありがと!10時に桜木駅で集合ね!]
[まってる!]
と返された。あぁ、早く今週が終わればいいのに。
『〜ッッ!///』
私は、顔を真っ赤にしながら、
スマホのカレンダーのアプリに
予定を書き込んだ。
【カレンダー】#5
#毎日の小説の題名で長編小説に! #恋愛
#余命1ヶ月26日
私には、兄弟がいた。
3人兄弟。兄、私、妹“だった”。
兄は、とても運動神経が良かった。
特に、バスケが上手だった。
ドリブルがとても上手い。
兄vs私たちでも、勝てたことがない。
1度もなかった。
そんな兄は、私の3つ上。
兄が中3のとき、私は小6だった。
兄は受験はせず、スポーツ推薦で高校に
行くらしい。そんな兄を私も、そして、
家族みんなで応援していた。
………だが、それも叶わず。
バスケの練習中、道路に出たボールを拾いに行き、
兄は…、交通事故で死んだ。
兄は、運動しか出来なかった。
頭が悪かった。馬鹿だった。
小6のとき、私は兄を……失った。
妹は、とても絵が上手だった。
幼稚園の頃から、プリキュアを書いていたから
だろうか。私と兄の似顔絵を書いてもらったときは、
ホントに驚いた。
まるで写真のようにそっくりだったから。
私が高3、妹が高1だった。
妹は、病気だった。
私と一緒に毎日登校していたのに、
違和感に気づくことが出来なかった。
妹が学校で倒れて、このことが発覚した。
お母さんがとても心配症で良かった。
検査をしたら、『がん』だということがわかった。
『肺がん』苦しそうだった。
最期まで、生きようと治療していたが、
駄目だった。
あんなに美しい絵も、もう見られることはないんだと。
もう一緒に高校に登校することはないんだと。
あの…笑顔は見られないのだと。
泣いた。兄が死んだということも私はまだ受け止めきれていなかったらしい。涙が止まらなかった。
ホントにもう2人には会えないのだと理解した。
高3で私は、1人になった。
私は、どうしようもない喪失感に襲われた。
【喪失感】#4