〜いろんなお話〜

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6/9/2025, 11:27:20 AM

【どうしてこの世界は】

私の世界は暗闇が広がっている。

人間としての機能で使えるのは

聴覚、触覚、味覚、嗅覚。

私は目が見えない。

この事を聞いた人は、皆口を揃えて

「可哀想」と言う。

この事を聞いた人は、皆揃って

「助けになるから」と言う。

私は普通の人より可哀想な存在らしい。

普通の人に助けてもらわなきゃ何も出来ないみたい。

そんな自己暗示を他人から擦り込まれる日々。

この世界は私にとって、

あまりにも窮屈だった。

そんな思いを持つ子のお話。

6/8/2025, 2:09:34 PM

【君と歩いた道】

放課後、用事があった私を

彼はいつも教室で待ってくれていた。

電車があるからそろそろ帰ろう。と、

皆んなが荷物を持ち始める中

「もうちょっとだけ居たい」

彼は私にだけそう呟く。

結局教室に2人だけ残って、

7.8時ぐらいまで沢山話して、

暗い線路沿いの道を、手を繋いで歩く。

寒い日はポケットの中で繋いだり、

誰も見えないところでキスをしたり。

この道は思い出が多すぎて

当分1人では歩けないなぁ。

そんなあの頃に戻りたい子のお話。

6/7/2025, 10:38:18 AM

【夢見る少女のように】

大人になったら、おっきいお城に住む!

可愛いピンクのお部屋にして、

可愛いワンピースいっぱい着て、

可愛いわんちゃんと一緒に暮らす!

朝ごはんは毎日パンケーキ食べて、

お外で本読んだり、

あ、髪の毛クルクルにしてお姫様みたいにする!

その為に今から伸ばしておかないとなぁ

ママとパパが許してくれるかわからないけど…

いいなぁ

僕もこの絵本のお姫様みたいに、可愛くなれたらな。

そんな少年のお話。

6/6/2025, 1:53:56 PM

【さあ行こう】

「さぁ!僕の手を取って!」

『ダメよ!落ちて怪我しちゃうわ』

「大丈夫!僕を信じて!」

『うぅ………』

『……えい!!!』

少女は少年の手を掴み、勢いよく窓から飛び降りた。

少女の身体は、重力を無視し空中に浮いた。

「ほら、僕の言った通りだろ?」

少年は明るく微笑み、少女は優しく笑った。

2人は風の様に、滑らかに飛んだ。

子供の2人なら、

きっと何処へだって、飛んでいけるだろう。

そんな2人のお話。

6/5/2025, 10:36:54 AM

【水たまりに映る空】

「あ、やっと晴れた」

私は刺していた傘を閉じる。

「よかった、お花濡れちゃダメになっちゃうもんね」

今私は友達の居る病院にお見舞いに行く途中だ。

「…確かこの館の7階だったよね」

高く聳え立つ建物を見上げる。

ぴちゃ、ぴちゃ、

水たまりを踏みながら歩く。

ふと、水たまりの反射した世界に目を奪われた。

そこには空中に浮かぶ空が映っていた。

「え」

私の戸惑いを覆い被すように

ドシャッと鈍い音が前の方で聞こえた。

そんな空くんのお話。

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