【水たまりに映る空】
「あ、やっと晴れた」
私は刺していた傘を閉じる。
「よかった、お花濡れちゃダメになっちゃうもんね」
今私は友達の居る病院にお見舞いに行く途中だ。
「…確かこの館の7階だったよね」
高く聳え立つ建物を見上げる。
ぴちゃ、ぴちゃ、
水たまりを踏みながら歩く。
ふと、水たまりの反射した世界に目を奪われた。
そこには空中に浮かぶ空が映っていた。
「え」
私の戸惑いを覆い被すように
ドシャッと鈍い音が前の方で聞こえた。
そんな空くんのお話。
6/5/2025, 10:36:54 AM