〜いろんなお話〜

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5/27/2025, 3:06:28 PM

【これで最後】

「ほら、お姉ちゃんにばいばいしようね」

『なんで?ばいばいなの?』

「そう、お姉ちゃんにはもう会えなくなっちゃうの」

『とおくにいっちゃうの?』

「体はここだけど、心はもうお空に行っちゃったの」

『ふーん』

その後、父がお姉ちゃんの体に蓋をした。

父の顔は汗と涙でいっぱいで、

母の身体は微かに震えていたのを覚えている。

『おねえちゃんはここでおねんねするの?』

「そうよ」

『だったらぼくがおねえちゃんをおこしてあげる!』

その瞬間、お姉ちゃんを埋める父の手が止まった。

母も血相を変えている。

そんな純粋無垢で何も知らない僕のお話。

5/26/2025, 1:13:21 PM

【君の名前を呼んだ日】

人の名前を呼ぶ時って、どんな時だろうか。

自分に気づいてもらう時?

自分をちゃんと見てもらう時?

話す相手を限定する時?

抽象的だけど、まだまだいっぱいあると思う。

名前を呼んだ人は、その人と向き合おうとしている。

けど、呼ばれた人はそんな事しなくてもいいみたい。

だって何度読んでも、何度叫んでも、

あの日、君は立ち止まって振り向いてくれなかった。

私の何がダメだったのかな。

そんな呼び止める為に君の名前を呼んだ私のお話。

5/25/2025, 12:09:22 PM

【やさしい雨音】

「あれ、もうこんな時間…」

ふと、勉強する手を止めて顔を上げる。

没頭し過ぎて、いつの間にか空が暗くなっていた。

「そろそろ家に帰らなきゃ…」

荷物をまとめて図書館を出る。

街灯を頼りにしばらく歩いていると、

ポツ、ポツ、と雨が降ってきた。

「げ…傘持ってないんだけどなぁ」

走り出した私に雨が降りかかる。

少しほてった私の顔を、冷たい雨が冷やしてくれる。

街は静かで、歩くたびに水の跳ねる音が聞こえる。

パチャ、ポツ、ザバ、ピチャ、

響き渡る雨音。

私の足はいつの間にか、走るのをやめていた。

「雨は嫌いなんだけどな…」

そんなちょっぴり嘘をついた私のお話。

5/24/2025, 12:13:28 PM

【歌】

僕は歌が好きだ。

辛い時、落ち込んでいる時、

唯一味方になって慰めてくれる。

ドライブ中は、一緒になって盛り上がる。

気分によって、いろんな歌を聞く。

歌は、その時に欲しい言葉をメロディに乗せてくれる。

1人で、2人で、皆んなで、

あの時こんな歌聴いたな〜

今日は一緒に歌って忘れちゃお!

そんなふうに記憶になって、想い出になって、

ゆっくり、着実に、僕の人生に絡んでくる。

いつの間にか、とても身近な物になっている。

そんな歌が好きな僕のお話。

5/23/2025, 1:50:16 PM

【そっと包み込んで】

「ねーねー」

『ん?』

「そっち行って、一緒に寝てもいい?」

『しょうがないなぁ、おいで』

「えへへ、やった〜」

彼の隣に寝転び、目を見つめた。

『どうしたの?』

「んーん、なんでもない」

顔を布団に埋めながら、彼の腕を腰に回した。

「寒いからこうして寝たい、」

『じゃあもうちょっとこっちおいで』

彼のしっかりした腕が私の身体を引き寄せる。

そっと包んで、でも離さなくて。

さりげない幸せを感じられた。

そんな私の彼氏のお話。

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