エルマ

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11/12/2024, 12:01:28 PM

得物を丹念に研ぎ、獲物を円やかに裂く感触
あの官能的な快楽は忘れられない
何年も蒸留した美酒を味わう舌みたく身体の芯を貫く
生命の奪い合いは何物にも優らない
世界そのものが遊戯場みたいだ

獲物を丹念に調べ、得物で艶やかに啄む感覚
あの魅惑的な旨みは忘れられない
何年も怨みを抱えた仇敵に相応の報いを与えた瞬間だ

あの刻から醜く、より洗練された得物
九つの得物は不可解な悲劇を求め
鈍く反射光を放っている

遊戯場ではルールなどない
獲物が逃げる足音
哀れな獲物が残響へと変わる涙
円やかに切り裂かれ変わり果てた肉塊
神経を貫くオキシトシンだけが
すべてを物語っている
『夜鷹』

11/11/2024, 11:09:10 AM

頭上には天の河が煌めく
暗く黒い漆黒が惑う天空
欠けた月光は闇に苦しむ
影を受け入れた天の河は
おまえの灯りに癒される

心の灯火
心の傷跡
心の血流
心の叫び

遥か彼方の天の河は静謐の到来を待ち望む
静けさと変わらない日々が平穏をもたらす
心は波打ちおまえの存在を確かめているか
わたしはおまえの内に問いたい
存在の儚さを、嬉しさを、憂いを、根深さを
じかんが積み重なり得てきたものは散りゆく
内に在るものは永久と云っている

魂の灯火
魂の傷跡
魂の血流
魂の叫び

名一杯太陽の斜光を浴びたおまえは

影を伸ばすだろう

案ずることはない

内に全てあるから
『藍燦唄』

11/10/2024, 12:17:10 PM

コトバは都に流るる人波に呑まれている
彼らはコトバを鋭利な刃物の如く使っている
コトバは美しく舞いヒトになると云っている

嘲笑の餌食と化したコトバは嘆き悲しむ
「生きる意味を教えてくれ」と叫ぶコトバ

都に訪れ言魂と戯れる吟遊詩人
コトバに麗しい装飾を纏わせ共に踊り狂う
都に流るる人波は吟遊詩人とコトバの意味を知る
生きる意味の片鱗を知った人波は忘れゆく

ストレングスと歌姫を擁する歌劇場
言魂とコトバは天空を貫き星となる
永遠の星々となった高貴なるものは
生の意味を絶え間なく彷徨う人波を照らしている

「この世は踊り狂うが勝ちさ」
と陳腐な歌を唄う吟遊詩人と歌姫

星々は人波を照らしつつ微笑みを浮かべている

単純極まりなく複雑な世界
リズミカルに変幻する世俗

嘆き苦しむ青年と淑女は救いを求める
憐憫を浮かべる聖女は只々祈っている

皆の幸せが降りかかるように
淡々と…真摯に…瞳を閉じて

『散文的雑踏』

11/9/2024, 10:06:22 AM

コンクリートの山々は太陽を覆う
アスファルトを忙しなく駆ける人波
喧騒の中から何らかの価値が産まれる

太陽が堕ちると、ネオンが偽りの月明かりを演じる
モノクロの街には幾千万通りの人生が在る
千紫万紅の瞳には幾千万通りの憂いが宿る
天空へと目指す紅き塔は星々を望んでいる

都会という名の森に流れる我らは水流か
雨粒である我らは水溜りになる定めか
その水溜りは清らかに濁り人生を知るだろう

太陽によって蒸発した瑞々しい水滴はきっと
天使に蒼白色の記憶たちを微笑み渡すだろう
満面の笑みを浮かべて



『都市の鎮魂歌』

11/8/2024, 10:34:44 AM

八十八個の鍵盤を眺め
音盤を回し音律に沈む

曲線と直線が混ざっている数奇な楽器
四足の脚で地を掴んでいる数奇な楽器
白と黒のコントラスト
鍵盤が私の指先を求めている

この理解しようがない人々を憂いた旋律を奏でる
この心臓が動く限り、続く生に激情を込めて唄う
空洞だった心はメロディアスに響く

救いようのない世界
何もかも求める世間

何もかも持っている我ら
満たされた瞬間、悦楽の源を探せど
見つからないな、物足りないな

八十八個の鍵盤を眺め
音盤を感じ音律に沈む
『白と黒の因果律』

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