11/7/2024, 10:11:48 AM
明日終わるかもわからない世界
暗く影が伸びた淑女
彼女は汝らの憐れみ
傷んだ心を癒す唄を
頬に涙を伝いつつ詠う
彼女は泣いた理由もわからないまま
汝らの讃美歌を淡々と哀しさを重ね
両手を広げ、空を抱いている
眩しい太陽を隠している雲の
頬を優しく撫でる
純白の雲は雨になり消える
明日終わるかもわからない世界
澱んだ心情を晴らす空の蒼さは
幾人の人々を照らすだろうか
『キリエ』
11/6/2024, 10:16:48 AM
あゝ朝露が我を濡らしている
素晴らしき祝福が収斂し結晶化した愛は
天へと舞い上がり朝露と成った
何時迄もこの愉楽を存分に味わせ賜う
魂が消え、肉体が消えようとも
海原を創った朝露は欣快(きんかい)を広げる
どれだけ醜怪な世界だろうと
無言で可憐に包むに違いない
おゝ朝露が霧散し消えて逝く……。
『朝露』
11/5/2024, 11:02:15 AM
人は変わり続ける
良き方向に変わるかも
わからずに
人知れず
心ない言葉に傷ついて
癒えて往く
人が変わらずにあるもの
求めるものは数多あるが
手に入らないかもなあ
とそう想いつつも
日々は紡いでいって
暖かいものができる
偽りでも本当でも
桜花は咲き誇る
『テセウスの舟』
11/4/2024, 2:11:37 PM
哀しみの波、波狼となり駆け抜ける
獣たる蛮族、滅するべく鍛錬積む刃
愛満たす人、再会を契り戦場へ赴く
怒涛の煉獄、戦場は悪魔の波止場か
虚しく響く、剣と斧
生来の友人、我の身代わりとなる
愛する妻と再会しようとも癒えない傷
我は親しき無二の友を救えなかった罪
妻、我の心見透かしたり
告解、妻泣き崩れる
世はなんとも哀れなり
『契り』
11/3/2024, 11:34:13 AM
虚飾で煌めく都
別れを惜しむ人
常夜灯は闇夜を照らす
誰も居ない世道を独り
想い出の海を泳ぐ街は
紅の糸を探し結ぶ涼月
虚飾で煌めく都
玉響、営みを灯す
『灯籠』