敢えて不幸でいる事で頑張っている風を装っているのだとしたら、其れは『なにもしていない』のと同義だと誰かが言った。
つまり、不幸で居続けることは怠惰だし、
幸せになろうとしないことは卑怯なのだというのだ。
それはきっと、概ね正しい。
負った傷を治さずに隠さずに街頭に居座りうまく主張していれば食うに困らないくらい誰かが助けてくれるかもしれない。
それで生計が成り立つのならばそれでも別に構わないような気もする。
そうして一日が終わり眠りにつくほんの少し前の空虚な時間に、ふと脳裏に浮かんでくるのだろう。
『なにもしていない。』『怠惰だ。』『卑怯だ。』
という強い言葉達が。
そして彼は少し葛藤するのだろう。
『じゃあどうすればいい?』
『今更変えてなんになる?』と...。
でも人は犬や猫とは違う。
自らで望み、行動すれば何かしらには行き当たる。
行き当たった場所でも自分を諦めなければ次のステップに進めるかもしれない。
そうして少しづつ前に進んで行く事を世の中では『頑張っている。』というのだろう。
でもそこに他人の評価は要らない。
痛いのならそれを癒す術はあるかもしれない。
1人ではどうにもならないとしても誰かが少しでも良くなる方法を知っているかもしれない。
そんな可能性を諦めず、
自ら求め行動する事で多分、人は少しだけ幸せになれる気がする。
大変だけどね。
自分のためだから。
愛猫の月命日に毎月納骨所へ通っている。
ペットを弔うのに荼毘に付し、
納骨できるスペースを借りたのは
これが人生で初の出来事だ。
これまでも沢山ペットは飼ってきた。
その多くは事故や病気で他界して、それ以外はどっかに行っちゃって帰ってこなかった子も多い。
亡くなった子は墓所の隅っこに埋めたり、
父が仕事場にしていた敷地に埋めたりして
なんとなくな感じで処理していた。
個人的にはいまでもそれでいいと思ってる。
でも今回は少し、
思いが強過ぎてカタチにこだわってしまった。
それをすることにどれほどの意味があるのか?
そろそろ自己満足だと自分に言い聞かせて
通っている部分もある。
いつまで続けるのか、
どこまでやるのかはわからないけど、
他に飼っている子達のこれからを思うと
もはやそれがスタンダードになりつつもある。
意味が無いこと。
意味の無いこと。
わからないけれど、
なんとなく、変えていければ…。
とは思う。
あーなーたーと、わーたーしぃー、
なーかーよーくーあそびまっそーーー!!!
って言うけどさぁ、
『あなたとわたし』の所、
『わたしたち』の方がうれしいんだけどね〜?
そーゆー距離感でもないっていう事なのかなぁ〜?って
ちょっと察しちゃうよね。
てか、それより、
栗の木の下って毛虫とかいて刺されるとカブれたりするから
気をつけた方がいいよ?
あと、【夢の国】ってパターンもあるか。
あなたーとわたーしがゆーめーのーくに~って、
あれ、夢の国っていわれるとアメリカねずみのいる所か、
最悪、黄泉の世界って連想しちゃうので
それもどうかな〜?っていう感覚もあるよね。
もう随分、古い歌だからな〜。
歌詞の解釈にも齟齬とか生まれちゃいそうだよね〜。
2月。
ご飯が食べられなくなっていて
寝てばかりいた飼い猫が逝った。
苦しさから解放されて良かったと思った。
5月。
突然、一人では動けない体になり
最終的に機械に生かされているだけ
の状態になっていた父が逝った。
それこそ何重苦かも分からない状態から解放されて
良かったねって思った。
猫は荼毘に付し納骨堂に入れ、
父の葬儀も兄と二人でなんとかやりきった。
そんな中。
妻が自分の携帯に届いた長女からのメールを見せてくれた。
『パパがしんぱい。』
柔らかい雨は唐突に僕の上に降り注いだ。
慌てて後ろを向きしばらく前を向けなかった。
強がっていたわけじゃない。
自分でもそう思っていた。
でも、不意に自分に向けられた言葉に、
心が大きく動揺してしまったのは事実で、
不覚にも後ろを向いてやり過ごすことしか出来なかった。
優しく甘やかで柔らかい雨に心が溶かされた。
そんな感じだった。
『連絡してあげてね。』
妻から促されて娘へメールを送る。
「俺は大丈夫。」ただそれだけが伝えたかった。
それは突然だった。
なんの前触れもなくその雨は全てに降り注いだのだ。
どこかで怒号が起こりあたりは喧騒に包まれていた。
(なぜこうなった!?)
こうなる事はある程度予測できたはずだった。
俺たちなら止められたはずだ。
なのになぜかそれをしなかった事にも問題はあったと思える。
だが現実としてそれは既に起きてしまっていた。
俺は息を整えあらためてその舞台となった場所を見た。
そして気づく、(あれ?あそこは...)
不意に見えた一筋の光に俺の腕は吸い込まれるように伸びていた。
揉み合う仲間たちの視線もその手の先に集まっていた。
もう少し、あと一瞬でこの手はそれに届く!。
そう誰もが息を飲んだ瞬間、
ジャっと幕が開き彼が現れたのだ。
『すみません、ほかのお客様のご迷惑になりますので、もう少し声を抑えていただけると...』
腰の低い店員さんが申し訳なさそうに注意してきた。
俺は付け合せの野菜の下敷きになっていた唐揚げを箸で持ち上げ、店員さんが『ありがたいのですが』と言い終えるのを待たずに「すみません。」と頭を下げた。
立ってもみ合っていた姿勢のまま仲間たちも
『あ、すみません』と姿勢をなおしながら
それぞれに頭を下げて座り直した。
そして店員さんが去ると始まるさっきの続き。
『おまえ、レモンかける?とか先に聞けよ』
『いやみんなレモンかかった唐揚げ好きだろーよ?』
『あたしそーゆーデリカシー無いのキラ〜イ』
『僕は別にどっちでもいい。』
「まぁ、俺もどっちでもよかったんだけど...」
そう言いながら俺はGETしたレモンのかかってない唐揚げを口に頬張った。
まぁ、ほのかにレモンの味はしたけど...。
結局、みんなレモンのかかった唐揚げを普通に食べて完食していた。
そんな飲み会の話。
あ、あと店員さんが開けたのは『幕』ではなく『暖簾』だったことだけは訂正しておこう。