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1/8/2023, 2:35:40 PM

〜色とりどり〜

一番乗りにくると冷えた空気が横を通っていく
勢いよく開けたドアの前で身震いをする
冬の美術室
暖房も何もつけずに一番乗りで来るといつもこうだ
今年の発表会と言うかコンクールのために先輩も後輩も同期も力を入れている
テーマは色
あやふやなテーマだ
私はこのテーマで絵を描くのに苦戦してるためキャンパスは真っ白
色とりどりのキャンパスが並んでいる
人がまだ来ない美術室はしんと静まりかえっている
油絵具の匂いや木材の匂いが絡まる

才能がないと散々言われたが頑張って続けた絵だ
コンクールには何回も出しているがひとつも賞を取ったことがない
「ん?おー相変わらず早いな」
「あら、一番乗りじゃない教室暖めててくれてありがとうね」
「先輩こんにちは!」
ゾロゾロと人がやってくる
「今年は優秀賞行けるかしら」
「行けんじゃね?」
「先輩なら行けますよ!才能凄いですし!」
優秀賞を取ること
私の目標はその先輩のように細かく綺麗な絵を描くこと
でもいくら模写してもいくら技術を学んでも書けない

「まだ真っ白ね、どんな作品を描きたいの?」
優しい先輩はよくアドバイスをくれる
細く綺麗な絵を描きたいと伝えると困ったような顔をされる、やっぱり私には無理なのだろうか
「貴方の絵のいい所は自由奔放に色を乗せていくところよ、他の人には出来ないような大胆さや迫力がある」
だからそこまで考えこまないでも自分の好きなように書いてみるといいとアドバイスを貰った
正直それでいいのか自分じゃ分からない
私の絵は大雑把でぐちゃぐちゃしている
自分の中では満足ができず1度絵を描くことをやめた
たくさん色を持っていたのにその時はグレー1色で何を混ぜても暗くなって言った
でも先輩の絵を見てからまた色が溢れ出してきた
色とりどりの景色を見せてくれた
そんな先輩のアドバイスだ、信じる意味はあるかもしれない

コンクールに出して2ヶ月程が経過した
結果はまだ届いていない
先輩は優秀賞を取れたのだろうか
私は1度でもいい入賞したい
「これ貴方の作品じゃない?」
審査員賞に載っていたのは間違いなく私の描いた
先輩からアドバイスを貰い描いた絵だった
「良かったわ、私も準優秀賞だった惜しかったけれどとても嬉しかったわ」
あれからも先輩の言った通り自分らしさの絵を描いた
コンクールに何度も何度も応募し賞をたくさん取っていった
その度先輩に褒めて貰えた
とても嬉しく心の中の色がまた溢れていった


嗚呼、楽しい

12/22/2022, 6:02:08 AM

〜大空〜

高いところから落ちる夢を見た
その日は、ものをよく落としたり、本が頭に落ちてきたり、人が落ちたりした

電車が横切る夢を見た
その日は電車が遅延したり、脱線したり、飛び込みをする人がいた

海の中にいる夢を見た
その日は、津波が来たり、船が沈没したり、入水する人がいたりした

大空を飛ぶ夢を見た
その日は、鳥がたくさん空に飛んでいたり、飛行機が事故を起こした

なにかに追いかけられる夢を見た
その日は、友達に追いかけられたり、近所の犬に追いかけられたり、通り魔から逃げてる人を見た

ナイフで刺し〇される夢を見た
その日は、針が指に刺さったり、花のトゲが刺さったり、〇人事件が起きたりした

真っ暗なところに1人で佇む夢を見た
今日は、時間が過ぎるのが早かった、真っ暗な場所に1人寝転がっている

見た夢が現実になる
夢を見ることで周りの人が死んでしまう
負のループを睡眠によって続けている
いつになったら犠牲者は減るのだろうか……
この苦痛もいつ消えるのかな

12/20/2022, 1:52:54 PM

〜ベルの音〜

人通りの少ない古い道を歩く
時折とび出ている道に足を引っ掛けて転けそうになるが、周りの目を気にして必死に耐えた
色の変わった石のタイルを子供のようにはしゃぎながらルンルンとした足取りで踏んでいく
街の中はシャッターのしまった店の後だったような場所、営業しているが人が来ないため無人販売状態になっている場所と個性的だった
その中でぽつんと一つ洒落ているが落ち着いている喫茶店がひっそりと建っていた

コーヒーの香ばしい匂いが扉の隙間から香り立つ
うずうずとしていたが、いてもたってもいられなくて扉を開いて中に入る
カランカランと澄んだベルの音が店内に響く
【いらっしゃいませ】
古い町にしては珍しく若い男性が店員として働いていた
この人…、ここで何年働いてるんだろう、
【こちらメニューです。お決まり次第そこのベルを鳴らしてくださいね】
メニュー表を持ってきて営業スマイルを見せてテーブルへと戻って行った
ここは、コーヒーが美味しそうだったな…
香ばしいコーヒーの匂いを思い出しドリンクはコーヒーのホットにしようと決断した

【ご注文は、】
注文したのは、コーヒーのホットとたまごサンド
こういう店のたまごサンドは絶品なのだろうという予想でウキウキとしながら背負っていたリュックからパソコンを取り出す
クチコミを開き書き込む
数十分後
【お待たせしました、こちらオリジナルブレンドコーヒーのホットと、本店手作りのたまごサンドです。ごゆっくり】
持ってくる姿もイケメン、差し出す姿もイケメンと…
クチコミには女子ウケするようなことも書いて、写真をひとつ取りコーヒーを手に取る
匂いを楽しみ1口コクと飲み込むと香ばしい匂いと共にほんのりとした苦味が口いっぱいにひろがった
サンドイッチもとても美味しく、自家製オリジナルのサンドイッチだからか、家庭の味といった懐かしさを持っていた

【気に入って頂けましたか?】
そう言って食器を片付けていく青年
めっちゃ美味しかったですと答えると嬉しそうに微笑み奥へと戻って行った
また来よう、次は友達も連れて
そう、思っていたが、友人を連れて行くとそこは何も無くて、そんなカフェ地元の人も聞いたことがなかったそうでした。
これは不思議な体験談

※実際の店や団体とは関係ありません

12/10/2022, 10:39:27 AM

〜手を繋いで〜

クリスマス
今日は、夜に用事がある
イルミネーションを見に行くという用事が
ワイワイと騒がしい人の群れに寒さを堪えながら待ち合わせ場所まで向かう
「あ、来た来た」
「遅いよ〜!!」
ご、ごめん…!!
「寒くないのか?」
大丈夫大丈夫、!!
少し短めのスカートを来て気合を入れてみたのに、ヒールにして見たけれど擦れてしまった
急ぎ足で走ってきたせいだろう
足を気にしながら前の3人を追いかける
疲れて歩いていると見失ってしまいいつの間にか1人になっていた
ツリーの下のベンチに腰かける
せっかくだからとオシャレをしなければ良かった、…
「、居た!!どこ行ってたんだよ、探したぞ」
……、
グイッと手を引っ張られ人混みの中へ連れられる
手を繋いでいるからかじんわり暖かく安心ができた
「靴擦れしたか?ヒールはなれないだろ、ゆっくり行こうか」
そうやって合わせてくれる
優しさに温もりを感じながら冷えた手を温めてもらいながら、ふたりと合流してそれから楽しい時間を過ごした
また来年
《楽しみ》だな

11/30/2022, 10:29:55 PM

〜冬のはじまり〜

指先が冷たく吐き出す息が白くなる季節
外に出て深呼吸をすると冷えた空気が鼻をさす
しんしんと降った雪は少量降り注ぎ、草に降りた霜はヒリヒリとした感覚を呼び覚ました
郵便受けから新聞紙やチラシを取りだし急ぎ足で部屋に戻る
この季節の暖房やこたつは魔物が住んでいる
暖かくて離してくれないから
出たくないと思う反面体の芯が冷えないようにとリビングに向かってコーヒーを入れる
暖かい湯気が立ち上りコーヒーの匂いが鼻をかすめる

冬のはじまり
それは、小さな変化や大きな変化を見つけることから始まる

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