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〜ベルの音〜

人通りの少ない古い道を歩く
時折とび出ている道に足を引っ掛けて転けそうになるが、周りの目を気にして必死に耐えた
色の変わった石のタイルを子供のようにはしゃぎながらルンルンとした足取りで踏んでいく
街の中はシャッターのしまった店の後だったような場所、営業しているが人が来ないため無人販売状態になっている場所と個性的だった
その中でぽつんと一つ洒落ているが落ち着いている喫茶店がひっそりと建っていた

コーヒーの香ばしい匂いが扉の隙間から香り立つ
うずうずとしていたが、いてもたってもいられなくて扉を開いて中に入る
カランカランと澄んだベルの音が店内に響く
【いらっしゃいませ】
古い町にしては珍しく若い男性が店員として働いていた
この人…、ここで何年働いてるんだろう、
【こちらメニューです。お決まり次第そこのベルを鳴らしてくださいね】
メニュー表を持ってきて営業スマイルを見せてテーブルへと戻って行った
ここは、コーヒーが美味しそうだったな…
香ばしいコーヒーの匂いを思い出しドリンクはコーヒーのホットにしようと決断した

【ご注文は、】
注文したのは、コーヒーのホットとたまごサンド
こういう店のたまごサンドは絶品なのだろうという予想でウキウキとしながら背負っていたリュックからパソコンを取り出す
クチコミを開き書き込む
数十分後
【お待たせしました、こちらオリジナルブレンドコーヒーのホットと、本店手作りのたまごサンドです。ごゆっくり】
持ってくる姿もイケメン、差し出す姿もイケメンと…
クチコミには女子ウケするようなことも書いて、写真をひとつ取りコーヒーを手に取る
匂いを楽しみ1口コクと飲み込むと香ばしい匂いと共にほんのりとした苦味が口いっぱいにひろがった
サンドイッチもとても美味しく、自家製オリジナルのサンドイッチだからか、家庭の味といった懐かしさを持っていた

【気に入って頂けましたか?】
そう言って食器を片付けていく青年
めっちゃ美味しかったですと答えると嬉しそうに微笑み奥へと戻って行った
また来よう、次は友達も連れて
そう、思っていたが、友人を連れて行くとそこは何も無くて、そんなカフェ地元の人も聞いたことがなかったそうでした。
これは不思議な体験談

※実際の店や団体とは関係ありません

12/20/2022, 1:52:54 PM