NoName

Open App
9/28/2025, 3:41:17 PM

永遠なんて、ないけれど

「永遠が欲しいか?」
 ある日就寝する直前の悪魔が僕の目の前に現れた。
理由もわからない僕に悪魔再度問いかける。
永遠が欲しくないのかと…

『え~と、対価とか必要ですよね?なのでお断りします』

 よく母ちゃんが美味い話には裏があるから乗るんじゃないよと言ってたのをこの瞬間なぜか思い出した。

「そうか。まぁ永遠なんて、ないけどな」

 悪魔はどこか遠い目をしながら呟いた。
どういうことだ?僕が聞き返す前に悪魔は煙のように消えっていった。
僕は寝てないのに僕は夢でも見たのだろうか??
理由もわからないが、とりあえず明日も早いので僕は寝ることした。
もし、永遠が欲しいと言ってしまってたら、僕は一体どうなっていたのだろうか。
答えは分からない。




















『おい、聞けよ。ガキに永遠が欲しいかって聞いたら対価必要だろうからって断られたぜ!』

「マジか!?俺も似たような理由で断られたわ。
最近のガキはチョロいから美味い話に食い付くんじゃなかったのかよ?」

『そもそも永遠なんてあるならオレらが欲しいよな。
まぁ自由な永遠だったらな…』
「マジ、それな…社畜辛いわ…」

 昨今悪魔たちは永遠が欲しいと言った者を集める。
集めた者たちは悪魔たちの貴重な労働力になるのだ。
永遠を手にした人間は到底人間社会では生きてはいけない。
当然だ。人間社会は歳を重ねない異物は排除される。
永遠を手にした人間は悪魔社会でしか生きてはいけない。
悪魔社会も今や年中人手不足だ。
猫の手、いや人間の手も借りたいほど忙しいのだ。

そして、この悪魔たちも人間を何とかスカウトしないとならない。
しかし、永遠が欲しいと言う人間は割と少ない。
悪魔たちもまた人間と同じように自由な永遠だったら欲しいのだった…

9/27/2025, 3:58:38 PM

涙の理由

 5年前私は人型アンドロイドを作った。
他にも量産したかったが、作ったのは一体のアンドロイドのみ。
地球は戦争や環境破壊で生物が住みにくい星になった。
それでも人類は少数は生き残った。
生き残った人類は、新たな地を求め他の星へ行くものが
大半だった。
そして変わり者や、地球に居たい者だけが残った。

「博士、博士、朝です。起きてください」

 私がこのアンドロイドを作ったのは寂しさからだった。
何しろ人類はもうほぼ居ない。
地球居たものも病気や寿命やらで減ってしまった。
今は果たして生き残ってる者はいるのだろうか。
いやきっといるまい。もう人類はきっと私一人だろう。

 私もきっと先は長くない、だからアンドロイドを作ろうと思った。
材料から集めた。錆や部品の破損で使える部品が少ない。
そんな中やっと作ったのが、アンだった。

 最初はアンは機械だからか命令でしか動かなかった。
しかし、学習機能をつけたことで少しずつ心が育っていった。

『博士、博士。山に見えるあれは何ですか?』
「あれは笠雲じゃな、雨が降るかもしれん早く帰るぞ」

『博士、博士植物に似てる生物は何なんでしょうか』
「それはナナフシじゃな、擬態して生活しておるのじゃ」

アンは私にとって本当の子どものようだ。
だからこそ私は不安になる。
この子を人間の様にしていいものかと。
心があるから嬉しくもなる、だが心があるからこそ別れが耐えがたくもなる。

「のぅアンよ、私といて幸せかい?」

『博士?質問の意味が図りかねます?わたしは博士のお役に立つために私は作られたと記憶してます』

「そうだったのぉ。アンよ私は旅に出る長い長い旅じゃ」
『承知ました。博士どこへ行かれますか?
いつお戻りになりますか?』
「そうじゃな、私にも分からない旅なのじゃ」
『??博士もわからないのですか?』

きっとこの子は私が死ぬことを理解しないのだろう。
その方が幸せなのかもしれん。
 だがこの子はある日、死を理解してしまった。
一匹の鳥がケガしていた、アンは私に助け求めてきた。
私も可能な限り治療したがしかし死んでしまった。
そして初めてアンは生物は死ぬことを理解したのだろう。

『博士、博士あなたもいつか死んでしまわれるのですか』
「そうじゃのぉ、いつかは私も死ぬな」
『それは避けられないのですか?』
「避けることはできないのぉ」

その日からアンは雛鳥ようについて回った。
同時に少しずつ、私も死期へ近づくのが分かっていく。
最初は力が出なくって運動機能も落ち、食欲も落ちて、ついにはベットから動けなくなった。

『博士、博士今日は綺麗な花が咲いてました
博士も動けるようになれば見に行きましょう』

アンが約束してくる。
しかしここまでのようだ。

「私ここまでのようじゃ眠くてかなわん」
『博士、博士、眠らないでください。一人にしないで』

私の腕がどんどん濡れて冷たくなっていく。
あぁきっと私の大切な娘が泣いているのだ。
あぁアンよ泣かないでおくれ。
涙を拭いてあげなければと思うのにもう身体は動かない。
私の意識はここで途切れた。
私は世界で一番大切な娘を一人ぼっちにさせてしまう。
そして泣かせてしまった不甲斐ない親じゃ。

































『博士私は幸せでした。あなたの娘でよかったです。
博士私に心くださり、たくさんの思い出をありがとう』

人は死後お墓を作ると聞いたので、博士のお墓を作った。
博士に見せたかった花をお墓に供えた。

しかし博士一つだけ可笑しいのです。私はアンドロイド。
なのに目から冷却水が止まらないのです。

9/26/2025, 5:10:14 PM

コーヒーが冷めないうちに

『君の淹れてくれる熱々のコーヒー毎日飲みたいな』

 あなたがなんてことなく呟いた言葉がさ、本当に嬉しくて柄にもなく美味しいコーヒーを淹れれるように努力した。

 でも結局無駄になった。
だってあなた実は猫舌だったんだもん。
言ってくれたら別にアイスコーヒーでも淹れるのにな…

『だって君が頑張って練習してるのに、申し訳ないって』

バカだなぁ、私からしたらあなたが舌を火傷する方が申し訳ないことなのになぁ。
ホットコーヒーが冷めたのは苦手だから、今度からアイス
コーヒーを淹れるね。

 私ホットコーヒーも好きだけど、あなたと同じものを飲んでゆっくり話すことの方がもっと好きなんだ。

9/26/2025, 7:13:03 AM

パラレルワールド

時々思うことがある。
本来の自分は死んでいて、今生きてるこの世界は実は夢物語なのかもしれない。
眠ることは、パラレルワールドから元の世界へと戻る練習かもしれない。

9/25/2025, 1:13:08 AM

時計の針が重なって

時計の針が重なり
時が進んでいく
肉体は衰えていく
心は止まったまま

Next