空白
書けなかった君への恋文。
あんなに大切だった筈なのに。
恥ずかしさから好きと言葉にできなかった。
宛先が空白になるなら好きと言葉にしたら良かった…
台風が過ぎ去って
本日3月1日、〇〇高校の卒業式だ。
〇〇高校3年2組は問題児クラスだ。
いやもう台風のようなクラスだったと言っていいだろう。
そして俺はこの問題児クラスの担任をしていた。
高校生とは思えない程に奴らは幼稚だった
けれど虐めをする様な奴らではなかった。
根はいい奴らばかりだった。
思えばこの一年は本当に怒涛の日々だった。
奴らは勉強は得意じゃない、授業中は私語が多い。
俺は何度他の人教員に頭を下げたかも分からない。
でも、あの子達を見捨てようとは思わなかった。
今日からあの子たちは自分の人生を歩んで行くのだろう。
あの子達はまるで台風のような子たちだった。
この一年はあの子達といると家に帰り着く頃はもう疲れて
ヘロヘロだった。
確かに天災だった。でも辛いことだけでもなかったのだ。
台風の様な子たちだった。
あの子たちが去った学校は少しばかり静かになった。
もうあんな強烈なクラスを暫く持つことはないだろう。
教員歴6年目の俺はあの子達のおかげで、自分の未熟差を痛感させられたのだ。
「でもな、流石に台風の日に傘で飛べるかって聞かないよな?」
少しだけあの子たちを卒業させてよかったのか?
そう思いながら、俺は青く晴れ渡った空を見上げた。
ひとりきり
ひとりきりになると落ち着く。
誰にも邪魔されない時間は大切だ。
のんびりゆっくりしよう。
読書をしようかな?映画でも観ようか?
それとも大好きなおやつを食べながらお茶でもしようか?
今日はひとりきり、いつも頑張る自分を労る日にしよう。
Red,Green,Blue
人は色に名前をつける。赤に緑に青。
きっと世界はたくさんの色があるだろう。
でも、僕が見る世界は赤はない…
リンゴが赤いと言われても僕には分からない。
皆が見てる綺麗な世界を僕だって見たかった。
フィルター
私の目はどうやら恋のフィルターが掛かったみたい。
私が険しい顔してるからか、友達のなっちゃんが声をかけられた。
『りこ変な顔してどうしたん?』
「なっちゃん、あのね私は多分恋してるみたい?」
『えーどういうことなん?』と聞いてくる。
野次馬根性半分、相談にのってあげようと思ってるのがバレバレの顔してるよといつも思う。
でも、なっちゃんは人が嫌がることは絶対しないし、本当に悩んで困った時は親身に考えてくれるから相談事も出来るのだ。
「あのさ、気になる人がいるんだけどその人から声をかけられるとドキドキしてさ」
『ほうほう。それで?』
「その人が私以外と話すとさ、いいなぁって思うの」
『ほーん、まだあるんでしょ?』
「告白されたって聞くと、もう胸がザワザワして落ち着かないの!」
『りこ、それは多分やない間違いなく恋や!!』
なっちゃんはこれを恋と断定しちゃった。
告白とかせんの?となっちゃんは聞いてくる。
でもね、恋のフィルターが掛かってる私にも分かることがある。
この恋は墓場まで持っていかないと思う。
だって私が一番大好きなのは、なっちゃんなんだ。
きっと告白すればなっちゃんは真剣に向き合ってくれる。
いい返事が貰えなくても、私は納得できると思う。
でも、きっとそれは、なっちゃんや私が周りから偏見の目に晒されると思う。
普通じゃないと周囲から異物としてフィルターに掛けられて、異物だから虐めに遭う可能性もある。
この恋のフィルターを持って生きれる程、現実は優しくないんだ。