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フィルター

 私の目はどうやら恋のフィルターが掛かったみたい。
私が険しい顔してるからか、友達のなっちゃんが声をかけられた。

『りこ変な顔してどうしたん?』
「なっちゃん、あのね私は多分恋してるみたい?」
『えーどういうことなん?』と聞いてくる。

 野次馬根性半分、相談にのってあげようと思ってるのがバレバレの顔してるよといつも思う。
でも、なっちゃんは人が嫌がることは絶対しないし、本当に悩んで困った時は親身に考えてくれるから相談事も出来るのだ。

「あのさ、気になる人がいるんだけどその人から声をかけられるとドキドキしてさ」
『ほうほう。それで?』
「その人が私以外と話すとさ、いいなぁって思うの」
『ほーん、まだあるんでしょ?』
「告白されたって聞くと、もう胸がザワザワして落ち着かないの!」
『りこ、それは多分やない間違いなく恋や!!』

 なっちゃんはこれを恋と断定しちゃった。
告白とかせんの?となっちゃんは聞いてくる。
 でもね、恋のフィルターが掛かってる私にも分かることがある。
この恋は墓場まで持っていかないと思う。
だって私が一番大好きなのは、なっちゃんなんだ。

きっと告白すればなっちゃんは真剣に向き合ってくれる。
いい返事が貰えなくても、私は納得できると思う。
でも、きっとそれは、なっちゃんや私が周りから偏見の目に晒されると思う。

 普通じゃないと周囲から異物としてフィルターに掛けられて、異物だから虐めに遭う可能性もある。
この恋のフィルターを持って生きれる程、現実は優しくないんだ。

9/10/2025, 5:44:39 AM