ココロオドル
それは蝶のように優雅に踊るわけでもなく
大ホールいっぱいに歌声を響かせるわけでもない
ただひっそりと生きているこの地球に心が踊る
神に無理矢理与えられた人生、
目標もなければ目的もなく、この世界に生まれた私たち
無意味な今日になんと言うタイトルをなずけようか
踊るわけでもない、歌うわけでもない、ただひっそりと呼吸をし目を瞬かせる
誰がなんと言おうと地球は「未知の世界」だ
まだまだ宝が残っている
勝手に与えられた今日と明日を僕は何のために遣おうか
まるで暇なようで暇じゃない
「たかしー!!仕事探してきぃー」
「今忙しい!」
こうして考えてるうちにかれこれニート4年目だった。
「先生大好き!!付き合ってくださーい❗」
彼女は力を込めて言った
「えっ、待って先生、教育免許剥奪で職失うからやめて」
「えーっ」
彼女は顔を膨らます。
「ってかなんでお前は教師ばっかり告るんだよ、同い年がいるだろ」
「タイプが年上好みなんですよ、あとお金持ち」
「10歳も離れてるけど、」
先生はぐしゃっと頭をかいて苦笑いした。
「また、ふられた」
彼女は、ガックリと肩をおろした
「そりゃ、そうだろ」
「容姿はいいと思うんだけど、、、」
「何がいけ、、、「頭だ」」
「お前ちょっと頭冷やせここは合コンじゃない、学校だ」
「お母さんが言ってたの、将来お金持ちと結婚した方がいいよーって」
「早いうちに」彼女は僕の耳元でそっとささやいた。
「君本当に年齢と思考合ってる?いくつだ君は?」
「今年で新2年生です。」
彼女は真っ赤なランドセルを背負って明るげに言った
「惚れた?」
「惚れてない‼️」
僕は力を込めていった。
静寂に包まれた部屋で一人の女性が横たわっている。
「どちら様?」
彼女は、ゆっくりと目を開いた。
「あぁ、そっかわかんないよね。僕は君の関係者だ」
僕は、妻となる女性に声をかけた。
「そうなんですね」
彼女は桜色に染まった唇を微かに動かす、
「ずっと空を眺めているのかい?」
彼女は細長い黒髪を振り払いこちらを向いた
「、、、わからない、」
「えっ」
「記憶が」
彼女は自虐的な笑みを浮かべてそう言った。
「思い出せそうなのに思い出せない」
「ねぇ、この子はだれ?」
彼女はとある家族写真を手に取った
「それは、、、」
僕は言葉に詰まる
きっと彼女に言ってもただ困惑するだけ
彼女に記憶なんて無い、
もちろん昨日の事も、
きっと寝れば今日の事も、
初めてのキス
泣いて喧嘩して、笑ったときの思い出
そして、お腹の子を宿したときのあの感覚
これら全て嘘であるかのように次々と脳内で書き消されていく。
「この子をお願い、この子を先に、」
心花はそう叫ぶと共に緊急手術室へとはいっていった。
数時間後、医者が言った
「お腹の子は助かったのですが、、、」
僕は、その言葉と共に不吉な予感がした。
あぁ、言うな、言うな、何も言わないでくれ!!
「奥様は、脳に酷いダメージを受けてしまって、もう、、、」
「記憶は二度と戻らないでしょう。」
昨日の事も今日の事も、どんなに泣いても、どんなにあがきもがいても、もう彼女の記憶は戻ってこない。
「心花、それは君の子供」
僕はそっと彼女の手を握った
「それは、それは君が命がけで守った何よりも大切なものだ」
彼女は、一瞬曖昧な顔をしたが、途端にみるみる笑顔になった。
「そっか、そうなんだ」
彼女は、空を見ていった。
「私の、子供かぁ、、」
彼女の頬からは一滴の輝く涙が伝っていった。
通り雨で、傘を持っておらず最悪と思っていた私の手を引いて「ほら、行こう山田、たまには雨ってのも悪くないだろう?」そう言って大雨の中一緒に飛び出した。
あーぁびしょ濡れになっちゃったじゃんと二人で大笑いをして意味のない雨宿りをした。
その時の彼の姿が何よりも輝いていた。
それから好きになった、彼と、雨が
秋になると同時に彼が告げた
「俺と付き合って下さい」と
「どうして?」私はまだ時期的には早すぎるマフラーでそっと顔を覆った。
「いつも一生懸命に部活や勉強を取り組んでいる姿に惚れたんです。」彼は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
私も彼を見つめ、ふと目を細める。
「男に騙されたら駄目だよ」
その瞬間母の声と共にあの光景がフラシュバックする。母の薄気味悪い真っ赤に染まった唇が映し出された
「あんた見たいな子が生まれたら大変でしょ?
「気づいてない?あんたみたいな子、誰も必要として無いってこと」
私はこわばる体を張って言った
「なんで私みたいな子と?
あぁそっかぁ、肌恋しくなる時期やからなぁー」
私は自虐的な笑みを浮かべた、
彼は言葉に詰まった様子だった、
「それでも、、、」
「えっ?」
「例え、僕が知らないあかりさんでも僕は、誰よりもあなたの事が好きです。」
「現実を知ったら絶句するかもよ?」
私は少し大袈裟に脅しをかけた
「いいんです、それでも、、、逆に本当のあかりさんを僕は知りたいんです。」
その時、心の中に張り詰めていた何かが切れた
秋なのにこんなに暖かく心苦しいのははじめてな気がする
「もう一度返事を受け取ってください」
「あかりさん、僕と付き合ってください」
彼女は、ゆっくりと顔を上げ満面な笑顔で返事をした
「はい、よろしくお願いします」
紅葉が彼女の後ろをゆっくりと舞っていった。