秋になると同時に彼が告げた
「俺と付き合って下さい」と
「どうして?」私はまだ時期的には早すぎるマフラーでそっと顔を覆った。
「いつも一生懸命に部活や勉強を取り組んでいる姿に惚れたんです。」彼は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
私も彼を見つめ、ふと目を細める。
「男に騙されたら駄目だよ」
その瞬間母の声と共にあの光景がフラシュバックする。母の薄気味悪い真っ赤に染まった唇が映し出された
「あんた見たいな子が生まれたら大変でしょ?
「気づいてない?あんたみたいな子、誰も必要として無いってこと」
私はこわばる体を張って言った
「なんで私みたいな子と?
あぁそっかぁ、肌恋しくなる時期やからなぁー」
私は自虐的な笑みを浮かべた、
彼は言葉に詰まった様子だった、
「それでも、、、」
「えっ?」
「例え、僕が知らないあかりさんでも僕は、誰よりもあなたの事が好きです。」
「現実を知ったら絶句するかもよ?」
私は少し大袈裟に脅しをかけた
「いいんです、それでも、、、逆に本当のあかりさんを僕は知りたいんです。」
その時、心の中に張り詰めていた何かが切れた
秋なのにこんなに暖かく心苦しいのははじめてな気がする
「もう一度返事を受け取ってください」
「あかりさん、僕と付き合ってください」
彼女は、ゆっくりと顔を上げ満面な笑顔で返事をした
「はい、よろしくお願いします」
紅葉が彼女の後ろをゆっくりと舞っていった。
9/26/2023, 4:28:37 PM