静寂に包まれた部屋で一人の女性が横たわっている。
「どちら様?」
彼女は、ゆっくりと目を開いた。
「あぁ、そっかわかんないよね。僕は君の関係者だ」
僕は、妻となる女性に声をかけた。
「そうなんですね」
彼女は桜色に染まった唇を微かに動かす、
「ずっと空を眺めているのかい?」
彼女は細長い黒髪を振り払いこちらを向いた
「、、、わからない、」
「えっ」
「記憶が」
彼女は自虐的な笑みを浮かべてそう言った。
「思い出せそうなのに思い出せない」
「ねぇ、この子はだれ?」
彼女はとある家族写真を手に取った
「それは、、、」
僕は言葉に詰まる
きっと彼女に言ってもただ困惑するだけ
彼女に記憶なんて無い、
もちろん昨日の事も、
きっと寝れば今日の事も、
初めてのキス
泣いて喧嘩して、笑ったときの思い出
そして、お腹の子を宿したときのあの感覚
これら全て嘘であるかのように次々と脳内で書き消されていく。
「この子をお願い、この子を先に、」
心花はそう叫ぶと共に緊急手術室へとはいっていった。
数時間後、医者が言った
「お腹の子は助かったのですが、、、」
僕は、その言葉と共に不吉な予感がした。
あぁ、言うな、言うな、何も言わないでくれ!!
「奥様は、脳に酷いダメージを受けてしまって、もう、、、」
「記憶は二度と戻らないでしょう。」
昨日の事も今日の事も、どんなに泣いても、どんなにあがきもがいても、もう彼女の記憶は戻ってこない。
「心花、それは君の子供」
僕はそっと彼女の手を握った
「それは、それは君が命がけで守った何よりも大切なものだ」
彼女は、一瞬曖昧な顔をしたが、途端にみるみる笑顔になった。
「そっか、そうなんだ」
彼女は、空を見ていった。
「私の、子供かぁ、、」
彼女の頬からは一滴の輝く涙が伝っていった。
通り雨で、傘を持っておらず最悪と思っていた私の手を引いて「ほら、行こう山田、たまには雨ってのも悪くないだろう?」そう言って大雨の中一緒に飛び出した。
あーぁびしょ濡れになっちゃったじゃんと二人で大笑いをして意味のない雨宿りをした。
その時の彼の姿が何よりも輝いていた。
それから好きになった、彼と、雨が
秋になると同時に彼が告げた
「俺と付き合って下さい」と
「どうして?」私はまだ時期的には早すぎるマフラーでそっと顔を覆った。
「いつも一生懸命に部活や勉強を取り組んでいる姿に惚れたんです。」彼は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
私も彼を見つめ、ふと目を細める。
「男に騙されたら駄目だよ」
その瞬間母の声と共にあの光景がフラシュバックする。母の薄気味悪い真っ赤に染まった唇が映し出された
「あんた見たいな子が生まれたら大変でしょ?
「気づいてない?あんたみたいな子、誰も必要として無いってこと」
私はこわばる体を張って言った
「なんで私みたいな子と?
あぁそっかぁ、肌恋しくなる時期やからなぁー」
私は自虐的な笑みを浮かべた、
彼は言葉に詰まった様子だった、
「それでも、、、」
「えっ?」
「例え、僕が知らないあかりさんでも僕は、誰よりもあなたの事が好きです。」
「現実を知ったら絶句するかもよ?」
私は少し大袈裟に脅しをかけた
「いいんです、それでも、、、逆に本当のあかりさんを僕は知りたいんです。」
その時、心の中に張り詰めていた何かが切れた
秋なのにこんなに暖かく心苦しいのははじめてな気がする
「もう一度返事を受け取ってください」
「あかりさん、僕と付き合ってください」
彼女は、ゆっくりと顔を上げ満面な笑顔で返事をした
「はい、よろしくお願いします」
紅葉が彼女の後ろをゆっくりと舞っていった。
形の無いもの、もしそれが実現するのであれば僕は真っ先にあの言葉を言うだろう。
「ねぇ健太郎さん、私の事好き?」彼女は上目使いをして僕に言った。
「あぁ、もちろん」
「世界で一番愛してる」
僕はそうやっていつものお決まりの言葉を発する。
そしていつも道理の嘘を吐く
彼女が帰ってくれば
「お帰り」と暖かいご飯を用意する。
彼女が寝る前には
「お休み」と甘い嘘のキスをする、
彼女が疲れたとでも言えば、どこからでもすっ飛んで会いに来たことだろう
かれこれうまくやっていたはずなのに、2週間前彼女に告げられた。
「もう、あなたとはやっていけない」って
「あなたに愛想をつかした」と僕はその言葉に酷く絶句した。
「あなたって冷たい人だったのね」
そう彼女は、別れに添えて去っていった。
無に言ったこっちゃない,
だって僕は愛された記憶も証拠も無いのだから
僕の親は里親だったし、友だちは少ししかいなかった。
だからといってメロスの友セリヌンティウスのような固い友情で結ばれた友は1人もいなかった。
悲劇のヒロインごっこをするなら「偽りの関係」と表してもいいくらいだった。
本当の愛なんてわからない、「愛してる」この言葉だけが本当の真実と言えるのか、
夜に遊び回る、若い女性と年の離れた男性
「愛してる」といいつつも、スマホばっかり眺めているあの人
薬指に永遠の愛の魔法を誓い、馴れ馴れしく女性の体を触る男。
愛何てどこにあるのだろうか?
その愛と言う基準はどうやって決めるのだろうか?
僕は路上にたたずむ黒猫のそばに駆け寄った。
「お前は、いつも1人なのか?」そう問うと
黒猫は不機嫌そうに喉をならした。
そしてニャーと甘える声で返事をした。
愛は計り知れない、それと同時に嘘かどうかがわからない。
僕は、雲一つもなければ星一つもないただ真っ黒な夜空を眺めながらため息を着いた
「愛を求めすぎていたのかもしれない」
そうやって今日もまた一人愛に餓えている人が増えていく、
形がないもの、それは1人1人が自由に形を変えられる。美しさが生まれると共に残酷さも生まれるのかもしれない。
大事にしたいものは自分自身
じゃあどうやって自分を好きになるのか?
手の伸ばし用の無い私をどう愛するのか?
それは自分の可能性を秘めること
「認めてもらいたい」そう思い込み、ファッション発達障害になっちゃったあの子
「愛してもらいたい」そうやってミュンヒハウゼン症候群になっちゃったあの人
辛くて辛くて生きずらい、そして逃げ道がそこにしかなかったのかもしれない
確かに自分を愛するって嫌な気分、
客観的に考えて、人を妬んじゃったりいじめちゃったりするのに愛するっておかしくない?
だけど妬む人は頑張った人なんだなーって思うし、いじめちゃう人は心が傷ついてるんだなーと思う。
だからこそ、こんな繊細で弱い立場の自分を守りたくなる、いや守らなければならないと思ってしまう。
でも、自分を信じてみたらどうなるのだろうか?
「私は出来るんだ‼️、あの人よりもっと練習して上手くなるんだ、追いつくんだ❗」 って
もし、くじけたら
「自分のバーカ」って叫んでみて
もし、泣きそうになったら大声で泣いたっていい。
がむしゃらに頑張って出来なかったら諦めたっていい。
苦しい日々の中から成長と楽しさを見いだして自分を誉めてあげることが一番大切なことよ、、、
って考えるとナルシストって悪いことだらけじゃないでしょ?(笑)
自分を信じて諦めないで頑張って
そしていつか気づくことでしょう
頑張ってる私が一番輝いているって、
自分を愛する=自分をみつめる
みんな無理しない程度に頑張ってね
ファイト✊