凍える朝
母の声で夢から覚める。太陽の日差しがカーテンの隙間から差し込み床を照らしていた。私は布団によって暖まった体を外に出したくなくて身動ぎした。ガサゴソと布が擦れる音を鳴らした後、この温もりを離したくなくてもう一度夢の世界へと目を瞑る。
だが二度目の声。今度は急かすような怒ったような声色。開かない目を一生懸命に開く。その目で部屋にある時計を見れば起きるはずの時間より20分過ぎていた。
私は目を開き布団から飛び抜けた。廊下の床が寒さで冷たくなっている。昨日までは暖かかったのにと、心の中で思うも窓から見た景色にそんな思いも消し飛んだ。
冬の寒い時期、それに加え朝は凍える空気のせいで外が鮮明に見えた。悪くない。そんな日常の景色に微笑んだ
忘れたくても忘れられない
あの人は私の全てとなっていた。
周りは辞めとけと止める。
金は日に日に無くなっていく。
それを補うように始めた仕事は私の心を壊す。
毎日その繰り返しを生きた。
だけどその心も、体も、彼からの言葉で癒された。
嬉しそうな声色は私を生かしてくれた。
彼の言葉は私を喜ばせ幸福と繋ぐ糸となった。
例え色恋営業だとしても
例えその言葉嘘だとしても
私はそれすらも愛してしまった。
私だって何回も逃げようとした。
他の女に盗られたら?
彼の1番が私じゃなくなってしまったら?
離れようとするたびその言葉が脳内を駆け巡る。
呪いのような彼を
私は一生忘れることができないと悟った夜。
今日もネオン街を独り歩いて
忘れたくても忘れられない彼に会いに行った。
先が見えない道でも
どんなに険しく辛い道でも
歩いていきたい
この道は自分しか通れない道だから
考えるだけで胸が高鳴る
未来未来に手を伸ばし
ずっとずっと歩いていき
その先の景色を掴み
幸せになりたい
それが人生
見つけた
やっとやっとやっと
君を見つけれたよ
やっぱり運命なんだ
私達運命なんだ!
どこに行っても会えるんだよ!
この小指に!硬く繋がれた糸は
私の小指を引きちぎる程に結ばれてる!
君もそうでしょ!
そうじゃなきゃ…そうじゃなきゃおかしいよね!
私達!赤い糸で結ばれてるんだもん!
日差しが私を包み込む
今日が始まった
夜明けは優しく私達を迎える
時に残酷に時に優雅に
誰にでも平等な光を差仕込める
温かい光が私を照らした
それは体の芯に浸透し一日のエネルギーになってくれる
私の味方をしてくれる
日の温もりは心の温もりに変わり
今日も生きる
おはよう