飛べない翼
何度やっても失敗ばかりだ…
みんなに追いつこうとして、努力をしたのに…
何をやっても失敗ばかりだ。
だから…みんなは…俺に期待するのをやめた。
分かってる…分かってる筈なのに…
何故だか涙が止まらない。
俺は心の何処かで諦めていたのだろう。
ピピピ…
嗚呼…今日も生きてしまった…
俺は無機質な時計を止め、身体を起こす。
今日は大事な集まりなのに、寝坊してしまった。
スマホを見ても、誰からも連絡は来ていない。
「はぁ…俺は必要とされていないんだな…」
独り言を溢しながら、大きな窓を開ける。
青空が広がって、心地よい風が頬を撫でていく。
今の俺には暖かすぎる。
着替えを済ませ、煙草に火を灯す。
紫煙が身体を汚していく。
ゆっくりと煙を吐き出す。
何処となく落ち着く。
煙草を灰皿に押し付けて火を消す。
俺は意を決して、窓枠に足を掛ける。
でもまた失敗して、足を踏み外した。
ふわっと身体が下に落ちていく感覚があった。
嗚呼…また失敗したな…
最後に見えたのは部屋の扉を開け、慌てて駆け寄ってくるみんなだった。
懐かしく思うこと
今日は久々の休日!
今日は街に出かけようと思う。
まずは支度を済まし、朝ごはんを食べる。
街に来ると、前みたいに珈琲を買う。
あ…またやっちゃった。
もういないのに2個買っちゃった。
あれ?なんで2個買うんだろう?
まぁいいや!
久しぶりにあの丘に行こう!
丘に着いて寝転ぶと、風が頬を撫でていく。
暖かいなぁ…寂しいな…
ってなんで寂しいって思ったんだろ。
懐かしいようで…寂しいような…
ねぇ…そろそろそっちにいってもいいかな?
もう一つの物語
「なぁ?この世界の他に、世界があるって知ってるか?」と友人が僕に言ってきた。
「はぁ?」と僕から間抜けな声が出た。
友人はそんな僕を見ながら、話を続けようとする。
僕はそんな友人に言う。
「そんなの作り話かなんかだろ。
なんつったけ?“並行世界”とか“Another World”とか言ったけ?そんなもんは所詮娯楽で作られたもんだろ。『本当に世界移動した』とか言って海外の奴らは動画にするけどさぁ…あれはただ単に寝ぼけたか、勘違いだろ。思い違いにもほどがあるだろ。」
僕が呆れながら言うと、友人はいつにも増して真剣な表情で僕を見つめる。
「…………………………」
友人は何か言いたげにしていた。
僕が「何黙ってんだよ。言わなきゃ分からんよ」と苛立ちを露わにしながら言うと、友人は周りに人がいないことを確認し小声で話し始めた。
「実は…“俺”は別世界の“俺”と入れ替わったんだ」
真剣な顔をしながら話す友人に、我慢できなくなり吹き出してしまった。困惑している友人を見てより笑ってしまった。
「そんなことねーよwてかいつも“俺”って言わねーじゃんw」俺がそういうと友人は「そうだよな!」と言って「嘘だよw」と笑っていた。
「やっぱ嘘じゃんかw」
「…嘘じゃないだけどな……」
この時僕が笑っているのを冷たい目で見ていたのは知りもしなかった。
もしかしたら本当に別世界があって、もう一つの物語が存在するのかもな。
暗がりの中で
僕の世界は暗いままだ。
誰も僕の事なんて思ってもくれない。
だけどね。
君が灯りを持って照らしてくれた。
だから。
今度は僕が君を助ける番だ。
待っててね。
カーテン
カーテンを開けると、眩しいばかりの光が溢れてくる。窓から入ってくる少し肌寒い風が、淡い色のカーテンを靡かせる。
「よし。今日も頑張るぞ!」
そう意気込んで自分に喝を入れる。
そっとカーテンが靡き、自分を応援している様だった。