飛べない翼
何度やっても失敗ばかりだ…
みんなに追いつこうとして、努力をしたのに…
何をやっても失敗ばかりだ。
だから…みんなは…俺に期待するのをやめた。
分かってる…分かってる筈なのに…
何故だか涙が止まらない。
俺は心の何処かで諦めていたのだろう。
ピピピ…
嗚呼…今日も生きてしまった…
俺は無機質な時計を止め、身体を起こす。
今日は大事な集まりなのに、寝坊してしまった。
スマホを見ても、誰からも連絡は来ていない。
「はぁ…俺は必要とされていないんだな…」
独り言を溢しながら、大きな窓を開ける。
青空が広がって、心地よい風が頬を撫でていく。
今の俺には暖かすぎる。
着替えを済ませ、煙草に火を灯す。
紫煙が身体を汚していく。
ゆっくりと煙を吐き出す。
何処となく落ち着く。
煙草を灰皿に押し付けて火を消す。
俺は意を決して、窓枠に足を掛ける。
でもまた失敗して、足を踏み外した。
ふわっと身体が下に落ちていく感覚があった。
嗚呼…また失敗したな…
最後に見えたのは部屋の扉を開け、慌てて駆け寄ってくるみんなだった。
11/11/2024, 1:45:19 PM