正直
「......」
『俺らいい加減別れね?』
「......」
『あのさ...黙ってても分かんねぇーよ。』
俺がどんなに言っても、分かってくれない彼女。
原因は
彼女の浮気
彼女は昔から浮気性だ。
1度や2度は許してきた。俺も悪い所が、あるかもって思ったから。だけどいい加減疲れてきた。
何度も同じような話し合い。俺ばかり彼女を責めなきゃいけない。彼女はずっと俯き、黙っているばかり。正直俺はこんな性格の彼女と付き合った覚えがない。
いい加減分かってくれねぇかな?
「......」
『俺らいい加減別れね?』
「......」
『あのさ...黙ってても分かんねぇーよ。』
彼はずっと怒っている。原因は私のせいだって分かっている。私はずっと前から浮気ばかりしている。自分が“浮気症”だって事も...。
頭では分かっていても、身体が勝手に動いてしまっている。
彼の事は正直嫌い。
私が何度も言っているのに、彼はわかってはくれない。
いい加減分かって欲しい...。
無垢
純粋無垢の君は、俺の気持ちなんて分からないだろう。君の心は白くて、透き通っているようだ。
君は白がよく似合う。俺の気持ちを知ってしまえば、君の心は俺色…いや、黒くなってしまう。
俺はそんなことはしたくない。
俺が伝えるか、知られてしまうかは時間の問題。
《翡翠》
なんて呼ぶ声が脳裏から離れない。
忘れたくても忘れられない。
この辛い気持ちなんて、なければ良いのに…。
そう考えることが増えた。
俺は君のことなんて…。
『翡翠。どうしたの?どこか痛いの?』
気づけば君が目の前に。
驚いたけれど、君は心配そうに覗き込む。
俺が「なんでもないよ。」って言うと、君はほっとした表情になる。
君は俺の腕を引っ張って、仲間の元に連れていく。
嗚呼…もう少しだけ君の目に映っているのが…
“俺”だったら良いのにな。
終わりなき旅
君を探してもう数日が経つ。
俺が君の告白を断ってしまったから?
俺は君のことを、恋愛面で意識したことがなかった。
本当に申し訳ないと思った。
でも突然君はいなくなった。
どこを探しても…探しても見つからない。
電話をしても、連絡をしても何も帰ってはこない。
俺は最後まで探していなかった、海に行く事にした。
海で君の名を呼んでも、返事は返ってはこない。
俺は広い広い海辺を探していると、ポツンと何かが置いてあった。
靴だ。
「あれ…?そんな事ないよね?紫苑君?いるんだよね?冗談だよね…?」
俺は全てを察した。
紫苑君は俺に振られた後…。
俺はなんて馬鹿なことをしたのだろうか。
紫苑君のこと何も分かっていなかった。
気がつけば、涙が溢れていた。
俺は紫苑君の後を追うために、
終わりなき旅へ
意を決した。
「ごめんね」
タッタッタッタ…。
どれだけ走ったのだろうか。
足が鉛の様に重い。
気持ちも重い。
理由は簡単。
好きだった“神谷”に告白したから。
だけど、振られてしまった。
『紫苑の事は友達として好きだけど…
恋愛では…“ごめんね”』
なんて言われてしまった。
分かっていた。
分かっていたけれど、伝えたかった。
気がつけば、海にたどり着いた。
嗚呼…そっか此処は始めて、神谷と出会った場所だ。
俺は暫く海辺を歩いた。
「はぁ…振られちゃったな…。分かってたけど…辛いなぁ…。だったら恋なんてしなきゃよかった…。」
そう溢しながら、靴と靴下を脱ぐ。
靴を綺麗に揃えて、ズボンの裾を上げる。
ひんやりと冷たい波が、押し寄せては引いていく。
「冷たいな…。」
今日の気温は高いはずなのに、冷たかった。
「“ごめんね”…神谷…。
こんな事したくないけど、俺はお前に幸せになってほしい。だから俺はここで諦めるよ。
俺がいると互いに、辛いだろ?だから…」
俺は神谷への気持ちを溢す。
最後まで上手く言えなかった。
涙を堪えようとした。
でも涙は意思とは反対に、勝手に溢れてしまう。
同性愛が認められていたら、どんなによかったのだろうか。
俺はそう思いながら、冷たい海の方へ歩みを進めた。
《ごめんね…。神谷。俺の分まで幸せになれよ。》
俺の気持ちは波によって消されてしまった。
半袖
(暑いなぁ。早く授業終わらないかなぁ…。)
そう思いながら、窓の外を眺める。
外を眺めていると、3年の先輩方が100m走をしていた。その中には僕が恋焦がれている“茶川遥華先輩”が混じっていた。
遥華先輩は暑いのか、半袖で授業を受けている。
いつも長袖に隠れている腕は、色白で日焼けしそうな感じの腕だ。
僕はぼんやりと眺めていると、汗だくの遥華先輩と目が合った。
遥華先輩は優しい笑顔で、手を振ってくれた。
僕の心に刺さるくらい、カッコイイ…。
かっこいい先輩は、汗だくでもかっこいい…。