何気ないふり
高校は退屈だ。
別に頭がいい訳では無い。
ただ単につまらないだけの日常を送っている。
ただそれだけの事。
友達なんて居ない。一匹狼が格好良いから憧れている奴と一緒にしないで?そんなんと違うから。
って僕は誰に話してるんだか......。
そう思いながら、窓の外を見ると先輩達が体育の授業を受けていた。
(外の授業だし、この季節は陸上か......。)と何となく見ていたら、1人の先輩がこっちを見ていた。
その先輩と目が会った瞬間、ニコッと笑顔を見せてこちらに手を振ってきた。
ビックリして、机の上に置いてあったペンを落としてしまった。隣の席の奴は「どうした?」と聞いてきたけど、そこまで仲良くは無いため、何気ないふりをしてしまった。
一旦落ち着いて、もう一度窓の外にいる先輩を見ると校庭をを走っていた。
その走る姿が素敵で、少し授業をサボってみていた。
ハッピーエンド
“ハッピーエンド”なんて、書く人又は描く人によって別々のルートがあるし、ほんの少しだけ行動を変えることによって、世界がガラッと変わり“バットエンド”にもなる。
『俺もハッピーエンドの世界で生きたかったな。』
そう言葉をこぼすのは、本の中で行き続ける彼。
彼はこの本の悪役。
何をどう頑張っても、ヒーローにもなれないし、ヒロインにも、何者にもなれない。
彼は、同じ本の中で生き続ける彼奴が羨ましかった。この本が読まれる度に同じ様に悪役を演じて、彼奴を輝かせる為だけの登場人物になるだけ。
彼は彼奴の隣に立っている仲間達が羨ましかった。
そう思いながら、今はこの本が読まれていないためぼんやりとしていると、彼奴に声を掛けられた。
「お前も向こうで話そうぜ」
そう言いながら、彼の手を引いた。
彼はこの本の物語では自身はバットエンドだけど、
今だけは、ハッピーエンドだなと感じた。
My Heart
僕は趣味で小説を書いている学生。
今日も今日とで小説を書いている。
だけど、毎回同じ様なシュチュエーションだし、書くジャンルが同じ様なものになっているため、ネタが思い浮かばない。
僕が書く小説は毎回暗めの小説なため、今回書く小説は少しでも明るいものにしようとしていたが、僕は悲観主義者のため明るい小説が書けない。
毎回書いていたのは、悲観的なものばかりなので人には見せられないものだ。
何も思いつかないため、ネタを探そうと思い学校にある図書室に向かう事にした。
図書室に着くと誰もいなかった。
まぁここの学校は図書室が2つあり、この第1図書室はあまり使われていない。そのためこの第一図書室に来るのは、読書ガチ勢か勉強ガチ勢のような人達や、僕のような変な奴が来るぐらいだ。
今日はたまたま人が居ない時間帯なだけで、本来はさっきのような人達がチラホラいる。
(まぁ...僕ぼっちだから関係ないけどね...。)
なんて思いながら、ネタになりそうな本を探していると、ある1冊の本に気がついた。
僕はその本を手に取りタイトルを見た。
その本のタイトルは“My Heart”と書いてあった。
外国の本なのかな思いながら、作者名を探しても書いてなかった。
(誰か置いていったのかな?)と思いながら内容を読んでみた。日本語で書かれていたため、タイトルだけ英語なんだと思った。
本の内容は
主人公が自身の奏でる音楽が他人と違う事に、躊躇いを持って音楽を辞めようとしているが、ある人に出会ってから自身の音楽について、もう一度奏でようとするという物語
僕は気づいたら時間を忘れその本に没頭していた。
読み終わった時には2時間くらい経っていた。
僕はその本を司書さんに頼んで、1週間借りることにした。
家に帰ると僕はその本を何周も読んだ。
なんとなく今の自分に似ているなと思いながら、読み進みていた。
読み終わったのでまた読もうとした時に、僕は思いついた。
本当に今書きたい小説はこんな感じだと。
僕は急いで机に向かって座り、愛用のパソコンを開き、小説を書き始めた。
気づけば小説を書くことに夢中になっていたのもあり、5時間くらい経っていた。
でも、僕の中で一番いい小説が書けたことは嬉しかった。
僕は何となく、その本にありがとうを言った。
そしたら、その本が何となく開いた様な気がした。
ないものねだり
アイツは幸せで羨ましい。
幸せな家庭で過ごして、誰からも愛される。
たまに失敗するけれど、そこが良いと言うやつもいる。
しっかり相手のことも理解して、話を進めたりする。
オレには出来ないこと、無理な事をやり遂げる。
羨ましいな......。
アイツみたいになりたかった。
彼が楽しそうで羨ましい。
周りから信頼されていて、誰もが彼の元に行く。
たまにやらかしをするけど、笑ってやり過ごす奴もいる。
相手の事を理解しているから、誰でもすぐに打ち解ける。
僕には出来ないものは、彼が成し遂げる。
羨ましいな......。
彼みたいになりたかった。
好きじゃないのに
『俺は好きなのにな』
なんて言葉が脳裏に焼き付いている。
好きじゃないのに......
お前の事なんて好きじゃないのに......
お前なんか......
だんだん自分の気持ちに気づいてしまっている。
その場にへたりこんで、赤い顔を隠すことしか出来なかった。