たやは

Open App
3/21/2025, 6:43:12 PM

君と見た景色

「あのさ。さくら、見に行かない」

「うん。5年ぶりくらいだね。一緒に桜を見に行くの。うふふ。楽しみだな。」

そう。5年前に桜を見に行く約束をした。でも、約束は守られなかった。約束を破ったのは私だ。
あの時、別の友達から聞いた。君が私のこと「嫌いだ。」と言っていたと。でも、それは嘘だった。すぐに気がつく嘘なのに、嘘を信じてしまった。それからは、話すことが、そして会うことが無くなった。

あれから5年。高校の入学式で久しぶりに会った君は、変わらずに私に笑顔を向けてくれた。釣られて私も微笑む。

新たな約束の日。
少し散り始めた桜を2人で眺めながら、お弁当を食べる。お母さんも君と出かけると言ったら、嬉しそうにお弁当を2人分作ってくれた。

「あのさ。なんか。ごめんね。」

「いいよ。私もごめん。もっと早く話せば良かったね。」

「悪いのは私。でも、桜を見に来れて良かった。ありがとう。」

久しぶりに君と見た景色は、ずっとずっと忘れない。
これからは春には桜を、夏には花火、秋には紅葉、そして冬には雪を見に行こう。最高の思い出をたくさん作ろう。

そして、10年後も仲良くしていたいな。
これからはよろしくね。

3/20/2025, 12:24:47 PM

手を繋いで

吾輩はキジトラの猫である。
名前はキジ夫だ。
生まれてこの方、飼い主さんと住むこの家を出たことはない。この家と窓から見える踏切、そしてチンチンと音をたてながら走る電車が吾輩の世界の全てだ。
別に不幸とか思ったことは一度もない。
飼い主さんは優しいし、温かい寝床と美味しいご飯があれば、大概のことは問題にならない。

もちろん、楽しいこともある。
うちの飼い主さんは仕事から帰ってくると吾輩に覆い被さり、吾輩を思っ切り吸い込むのだ。
いわゆる、猫吸いだ。
吾輩を吸い込んだ飼い主さんが顔を上げると、その顔はムフフとなり、ゆるゆるだ。
そして、吾輩に感謝するのだ、

「癒やされた〜。ありがとう。キジ夫」

飼い主さんのこの顔が見られれば、吾輩は幸せだ。飼い猫冥利につきる。
この飼い主さんは、ちょっと変なところもある。猫吸いは、仕方がないとしてなぜか分からないが、吾輩の手を掴んで喜んでいる。何が楽しいのか。

「握手。握手〜。」

なぜかいつも、手をぶんぶん振り回し、飼い主さんと手を繋いで握手なるものをさせられる。
謎の儀式だ。
もういっそ、悪魔を呼ぶと言ってもらったほうが頷ける。

こんな飼い主さんとの生活だが、割と楽しませてもらっている。飼い猫も悪くはない。

3/19/2025, 11:54:28 AM

どこ?

どこ?ここはどこよ?
完全に迷った。
う〜ん。分からん。
あんまり歩き回らない方がいい気がするけど、誰かに道を聞こうにも…、
ここは、フランス!言葉なんて“ボンジュール”位しか分からない。
どうして、1人でフランス来ようと思ったのか。フランス人はフランス語を話せない人は相手にしないって聞くし、どうしよう。困る。ホテルまで帰れる気がしない。

とりあえず、大通りに出て、観光にきた日本人を捕まえよう。それしかない。
大通りってどっち?
あ!あの人。日本人ぽい。

「すみません。大通りってどっちですか」

絶対日本人だ。

「え?大通りはそこを右に曲がったところよ。」

「ありがとうございます」
お辞儀をして歩きだす。
ん?
せっかく日本人にあったのになんでホテルの場所を聞かなかったのか。
バカだ。バカ過ぎる。私って本当にバカた。

大通りに出たが、やはりホテルの場所は分からない。
どこ?どこよ。ホテルはどこ?
ウロウロ歩き回ったがホテルの場所はわからないし、そのあとは日本人にも会えなかった。もう泣きたい。あー。本当に涙出てきた。

「あの、ど、うしました、か?」
へ?変な日本語。でも日本語。
顔を上げると金髪の可愛らしい女性がいた。女神だ。

「ホテルへ帰る道が分からなくて。」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で笑ったら、その人もほほ笑んでくれた。

可愛いい〜

なぜか可愛い金髪のフランス人に手を引かれて大通りを歩き出す。この人、私のこと子供だと思ってるよ。絶対に。25才なのに
迷子だと思われてる。
なんか、それはそれで悲しい気がする。
でも、こんな可愛いお姉さんに手を引かれてちょっと嬉しいな。

こんなフランス1人旅もいい思い出かも。
でも、この次はせめて英語が話せる国がいいかも。私は英語話せないけれどね。

3/18/2025, 12:23:33 PM

大好き

お父さん!大好き!
大きくなったらお父さんのお嫁さんになる。

子供のころからの私の口癖。
どこに行くにもお父さんのあとを着いて歩き、何をするにもお父さんじゃなきゃイヤと駄々こねていた。

それなのに、中学生のころからお父さんが疎ましくなった。
嫌いになった訳でははない。
でも…。
門限があるとか、友達は選びなさいとか、
勉強をしなさい、なんて言われたことはないのに疎ましくなった。
口を効かなくなった。
そんな私を見てもお父さんは「思春期だよ。しかたがないさ。」と寂しそうに笑っていたらしい。お姉ちゃんの話しだ。

ある日、お父さんが仕事で単身赴任することになった。お母さんは、私の進学のこともあるからと私とお姉ちゃんと地元に残ることにした。
先週、お父さんは単身赴任地へ行ってしまった。お父さんがいない我が家は、静かだ。いつも、お父さんの回りで誰かがしゃべり、お父さんは聞き役なのに笑声がたえない我が家。改めてお父さんは我が家の中心にいたのだと思う。 

数カ月後、赴任先でお父さんがケガをしたと連絡があった。ケガの話しを聞いた時、涙が溢れ、お母さんと慌てて列車に乗った。列車のなかでも涙が止まらない。

お父さん。死なないで。大好きなお父さん

お父さんはベッドの上にいた。ベッドの上でニコニコと笑顔で手をふるお父さん。
ちょっと。全然元気じゃん。
死にそうって言わないかった。お母さん!
お母さんを見ると涙でぐしゃぐしゃだった。お母さんも死にそうだと思っいたのだろう。おっちょこちょいだなぁ。

私も涙が止まらない。ぐしゃぐしゃだ。
なのに、お父さんはニコニコしてる。なんか癪に障る。おおげさでも、お父さんが生きていてくれて良かった。

お父さんを疎ましく思う気持ちは無くなった。また、大好きなお父さんに戻ったのだ。これからも大好きなお父さんでいて欲しい。

お父さん!大好きだよ!



3/18/2025, 1:59:53 AM

叶わぬ夢

長く務めた会社をやめた。 
若いころから人に恵まれ、楽しく仕事がてきたし、結婚しなかったから仕事が全てとは言わないけど、私の大部分を占めていた。これからも仕事を続けていけると思っていた。
でも、上手くいかないものだ。
母の痔病が悪化し透析をすることになった。週3回の透析の送り迎え。とても仕事しながらはできない。
これからは介護に専念することになる。
これから、新たな門出の人がたくさんいると思う。人生何が起こるか分からないから、やりたいこと、できることは、その時、その時にやらないと。
なんて言えないか。
これから、仕事をやめ介護していくことに後悔はしていない。は嘘になる。
もう少し、仕事を続けたかったなぁ。が本音だ。
これも叶わぬ夢だろうか。

Next