白井墓守

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4/15/2026, 12:29:28 AM

『神様へ』

神様へ、
いつもありがとうございます。

願わくば、
二度寝する権利をください。

おやすみなさい。

4/14/2026, 3:56:58 AM

『快晴』

快晴、雲一つない快晴だ。
——ついでに人類もいないことを除けば、心も快晴なんだが。

○○○

地球温暖化に伴い、水面が急上昇して人類の生息権は縮小した。
今や、移動に必要なのは電車や車ではなく、船やボートだ。

小島にしがみつくようにして住まう人々は、それでもなんとか上手くやっていた。
……あの台風が訪れるまでは。

千年に一度の台風。
そう後に呼称されることとなる台風は、この世の全てを剥ぎ取っていった。
様々な人間ドラマを生み出し、後には何も残さなかった。

「わふん……」

人類が居なくなったあと、犬猫しか居なくなったこの島で。
天が祝福するように、太陽の光が降り注いでいる。

——嬉しいような、寂しいような心地である。


おわり

4/12/2026, 11:39:49 PM

『遠くの空へ』

遠くの空へ、届かない言葉を遠投した。

『好きでした』、なんて。ありきたりな言葉を。

どうか、いつか、届けばいい。
遠くの空へ、天国まで。

「生きてるうちに、言っときゃ良かったな」

死人に口なしとは言うが、死人に耳はあるのだろうか。


おわり

4/12/2026, 3:29:02 AM

『言葉にできない』

言葉にできない感動が、ここにある。

「うまれてきてくれて、ありがとう」

そっと、我が子を腕に抱いた。
このときの感動を、一生忘れることはないだろう。

この、言葉にできない感動を。

そして、あなたに伝えたい。
あなたは、そういった存在なのだ、と。

○○○

「それ、実の母親に愛されていない相手でも言える?」

クロハネの天使が声をかけてきた。
シロハネは答える。

「言えるさ。だったら、僕ら天使が、母親の分まで愛せば良いのだから」

クロハネの天使は肩をすくめた。

「全くもって、君は守護天使らしい守護天使だね」

○○○

「うまれてきてくれて、ありがとう」

この感動を、言葉にすることはできない。

だから、せめて。
——ありがとうを、君に。


おわり

4/11/2026, 3:02:33 AM

『春爛漫』

春爛漫である。春爛漫。
……起きたら、部屋の中が桜の花びらで埋まっていることを、春爛漫で済ませて良いものなのだろうか??

○○○

そもそも、である。
春爛漫とはなんだろうか。

頭のくるくる癖っ毛に桜の花びらをくっつけたまま、僕は物知りな偏屈博士のところに転がりこんだ。

「先生、博士先生。春爛漫とは、なんですか」
「お前の頭の中じゃよ、くそガキ」

人間を三人ぐらい纏めて殺したみたいな、殺人鬼も裸足で逃げ出す目付きがヤバい悪人面。喉が地獄から繋がっているのかと思うような低く響く恐ろしいがなり声。
……うん、博士だ。

それにしても、僕の頭の中が、春爛漫とは、いったいどういうことであろうか。

少し、考えてみたが分からなかったので、素直に聞いてみることにした。

「先生、博士先生。春爛漫が僕の頭の中とはどういう意味ですか、考えても僕には分かりません。教えてください」
「チっ!!!! くそガキ、今の状態を見て呑気に何事も無いかのように、そんな質問が出来るから、お前の頭の中は平和でお花が満開に咲き誇るあっぱらぱーだと、言っておるのだ!」
「ふむ、なるほど。ありがとうございます」

僕は素直な性格だ。
だから、今一度、博士先生の様子をじっくりと見てみることにした。

いつもの同じ室内。
特にサイズが変わっている訳では無さそうだ。
いつもと同じ家具の配置。
ベットが二つとか模様替えもして無さそうだ。
いつもと同じ服の博士先生。
この人はいつも同じ服を来ている。ファッションの概念無いんだ。この前、クローゼットに十着同じ服を見たことがある。

「うーん、全く分からない」
「春爛漫野郎がっ!!」
「強いていうなら、室内に溢れんばかりの桜の花びらが溢れて、それを必死に博士先生が掻き出して窓から外に捨てている事ぐらいだけど、うーん。いったい何が違うんだろう」
「答えを自分で言っておいて、なお分からないならお前に付ける薬はこの世に存在しないだろうな!!」

おや、?
僕は目をぱちくりとさせた。パチパチ。
周囲には僕の起きた部屋のように、桜の花びらが溢れている。

「先生、博士先生。もしかして、この桜の花びらですか?」
「それ以外に、何があると言うんだ、この馬鹿モノ!!」
「いや、しかし。こんなものは異変でも何にもないですよ。僕の部屋にも当たり前の顔をしてありました。ほら、雨が降ったりするじゃないですか。あれと同じですよ」
「お前は雨が、日本中の部屋の中にでも降ると思っているのか!!」
「気分なんじゃないですか、そこは」
「この春爛漫野郎め!!」

博士先生は御年九十を超えるご老人の筈だが、とても元気で快活に、今も僕に怒鳴りながら桜を掻き出すという作業をしている。いったい、この力の源は何なのだろうか、不思議だ。

僕はそう思いながら、頑張っている博士先生にお茶でも淹れてあげようと、勝手知ったる我が家とばかりに台所へと向かった。

今日は春だし、桜のお茶にでもしてあげようかなぁ。


おわり

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