霜月 朔(創作)

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8/22/2025, 8:08:42 AM

君と飛び立つ



君は、傷だらけだった。
…心も、身体も。
それでも、君の瞳は、
一点の曇りも無かった。

そんな君を、救いたかった。
差し出した私の手を、
君はそっと握った。
その温もりを、
愛しいと思った。

君に優しさや安らぎを、
知って欲しいと願う私に、
君はそっと寄り添い、
小さく微笑んだ。

だが。
この残酷な世の中で、
人として生きるには、
君は余りにも、
純粋で、透明過ぎた。

最早、此の世には、
君が君で居られる、
場所はないのかも知れない。

それでも私は、
君の心を護りたいと、
君の笑顔を護りたいと、
君の温もりを護りたいと、
思ってしまうんだ。

だから、私は、
君と飛び立つ。
何も知らない他人は、
現実からの逃避だと言い、
私達を非難するだろう。

だが、それでも構わない。
誰も理解してくれなくとも、
君が微笑んでくれるなら、
私は幸せなんだ。

さあ。
一緒に行こう。
君が傷付く事のない、
此処ではない、
透明な場所へ。

8/21/2025, 9:40:15 AM

きっと忘れない

8/20/2025, 6:59:05 AM

なぜ泣くの?と聞かれたから

8/19/2025, 6:45:58 AM

足音



傷付いた心を抱え、
一人、空を仰ぐ。
もう戻らない過ぎた日に、
想いを馳せる。

俺の中で、色褪せない、
大切な想い出。
毎日の様に聞いた、
まだ、幼かった君が、
一生懸命俺を追い掛けてくる、
小さな小さな足音。

小さな君の足音は、
次第に大きく、
ゆっくりになって。
俺を追い掛けていた君は、
少しずつ大きくなった。

いつかきっと。
大人になった君と、
並んで歩ける日が来ると、
俺は勝手に夢見てた。

でも。
俺の心が、闇に囚われ、
立ち止まっている間に、
君はずっと先に行ってしまった。

俺が漸く目を開けた時。
笑顔の君の周りには、
たくさんの仲間が居て、
微笑む君の隣には、
俺の知らない男が居た。

君は、俺の知らない所まで、
歩いて行ってしまった。
幸せそうな君を、
俺は見送る事しか、
出来ないんだね。

…もう。
君の足音は、聞こえない。
…もう二度と。


8/18/2025, 8:34:25 AM

終わらない夏



人の醜さに傷付き、
残酷な世の中に傷付けられ、
社会には居場所が無く、
街の片隅に隠れるように、
息を潜め、生きている私達。

昼間は余りに騒がしく、
無遠慮だから、と、
星が主役として輝く、
静かな夜を好む貴方。

満月は、
人の心を掻き乱すから、と、
貴方は、月にさえ遠慮して、
折れそうな三日月を眺め、
私に温かく、優しく、
微笑みかけてくれました。

でも、私は知っています。
貴方が、静かで薄暗い部屋の、
カーテンの隙間から、
輝く真夏の太陽を、
憧れの眼差しで、
見詰めている事を。

貴方の心を離さない、
真夏の太陽。
終わらない夏。

そんな、貴方の心を狂わせる、
太陽なんていう、
酷く無遠慮な幻影を、
消してしまいたくて。

月さえ顔を出さない、
新月の夜。
私は貴方の胸に、
月の光にも似た、
銀色の刃を突き立てました。

貴方から溢れ出す赤色が、
黒い大地を濡らしていきます。
これで貴方は、
永遠に私だけのもの。

ゆっくりと、夜が明けます。
早起きな真夏の太陽が、
真っ赤に染まった、
貴方を、私を、照らします。

目を開けぬ貴方。
目を閉じる私。
登る朝日。
まだ、終わらない夏。


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