special day
君が居て、私が居る。
それが当たり前だと思ってた。
私は君の心を、傷付けた。
自分の正義だけを振り翳し、
君の大切な何かを、
壊してしまったんだ。
君が隣に居なくなって。
どんなに耳を澄ませても、
君の声は聴こえなくて。
時計が時を刻む音が、
やけに大きく聴こえる。
静かな部屋を見回す。
見慣れた部屋の
そこかしこに、
君の面影が、残ってる。
忘れたいのに、
忘れられない、
君との想い出。
記憶の中の、
君の笑顔と、
君に笑い掛ける私。
幸せそうな過去の自分に、
何故か嫉妬する。
君が隣に居るのが、
当たり前だった頃は、
繰り返す毎日を、
無為に過ごしていた。
君が、私の元を、
去っていく日が来るなんて、
考えもせずに。
そして、独りきりになって、
漸く気付いたんだ。
君と共にいた、
何でもない日々が、
『特別な日』だったんだ。
二人だけの。
貴方は静かに、
ただ、眠ります。
残酷な人の世から、
切り離された、
この静かな森の中で。
人々から忘れられ、
誰の目にも止まらず、
静かに朽ちていく、
古びた屋敷の、
灯りもない部屋の中。
季節の移ろいも、
人の世の移り行きも、
時の流れも、
生命の輪廻も、
無関係な、この場所で。
貴方と私、二人きり。
何者も入り込めない世界で、
永遠の時を生きていて。
例え、神であっても、
私達を目覚めさせることも、
私達を死なせることも、
出来はしないでしょう。
静かに眠る貴方に、
そっと寄り添い、
今日もまた、
幸福に揺蕩います。
永遠に終わる事のない、
…二人だけの。
夏
眩い朝日が顔を出す。
空の端が桃色に染まる。
もうすぐ夜が明ける。
朝日が連れて来る夏の匂い。
夏の煌めく太陽に、
恵まれた人々は、
何処か開放的になる。
一握りの選ばれた人間が、
夏の陽射しに、
笑顔を浮かべる、
その影で。
持たざる者は、
泥沼の中でのたうち回る。
眩い光は、容赦無く、
隠したい過去も、
傷だらけの心も、
白日の下に曝け出させる。
正しさは時に暴力となり
真実は、鋭い刃となり、
弱き者を、躊躇いなく
切り刻むのだ。
そして、
夏の早起きな太陽は、
疲れ果てた者が、
束の間の休息を得る、
夜の闇の安らぎさえ、
削り取って行くのだ。
朝日が登る。
星は姿を消し、
空は青くなっていく。
残酷な夏は…。
始まったばかりだ。