霜月 朔(創作)

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眩い朝日が顔を出す。
空の端が桃色に染まる。
もうすぐ夜が明ける。

朝日が連れて来る夏の匂い。
夏の煌めく太陽に、
恵まれた人々は、
何処か開放的になる。

一握りの選ばれた人間が、
夏の陽射しに、
笑顔を浮かべる、
その影で。
持たざる者は、
泥沼の中でのたうち回る。

眩い光は、容赦無く、
隠したい過去も、
傷だらけの心も、
白日の下に曝け出させる。

正しさは時に暴力となり
真実は、鋭い刃となり、
弱き者を、躊躇いなく
切り刻むのだ。

そして、
夏の早起きな太陽は、
疲れ果てた者が、
束の間の休息を得る、
夜の闇の安らぎさえ、
削り取って行くのだ。

朝日が登る。
星は姿を消し、
空は青くなっていく。

残酷な夏は…。
始まったばかりだ。

7/15/2025, 7:37:10 AM