霜月 朔(創作)

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9/25/2024, 6:30:24 PM

窓から見える景色



窓から外を眺める。

この部屋から見える景色も。
廊下の窓から見える景色も。
屋上から見える景色も。
貴方との想い出が詰まってる。

窓から見える景色は、
貴方がいた頃と変わらず、
季節の移ろいを見せ、
その時々の様々な表情を、
見せてくれているのに。

貴方は…もう、居ない。
この世の何処にも、居ない。

貴方と一緒に眺めた、
この窓から見える景色は、
少しずつ、姿を変えていく。
それが酷く哀しくて。

窓から見える景色が
涙に滲んで見える。
そして、俺は。
貴方が居るだろう天に向かって、
そっと手を伸ばすんだ。

9/24/2024, 5:50:42 PM

形の無いもの


貴方が私にくれたもの。

大人として必要な、
一般教養、知識、マナー。
読み書き、計算能力。

社会で生きる為の、
一般常識、生活の知恵。
コミニュケーション能力。

心が傷付かない為の、
ストレス対処法、
アンガーマネジメント。

生活を豊かにする為の、
音楽や美術等の芸術、
スポーツ、季節のイベントの経験。

そして。
沢山の優しさと、
深い…愛情。

貴方が私にくれたものは、
どれもこれも、全て、
形の無いもの…ですが、
とてもとても、
大切なものばかりです。

そう。
ペアリングの様に、
形のあるものでは、
ないけれど。
貴方の愛情に、
嘘は無い筈…ですから。

9/23/2024, 6:10:45 PM

ジャングルジム


何もかも、上手く行かなくて、
全部、嫌になっちゃった時は、
庭の片隅にある、
大きな木に登るんだ。

大人になって、木登りなんて、
誰もやらないから。
此処はボクだけの、
秘密の場所。

公園で遊ぶ子供達が、
ジャングルジムに登る様に、
ボクは、慣れた身の熟しで、
木に登っていく。

高い木の上から見ると、
嫌になった事なんか、
ちっぽけに思えて。
少しだけ元気になれるから。

そして、ボクの足元には。
突然姿を消したボクを、
心配そうに探してる…アイツの姿。

一番早く、ジャングルジムの
一番上迄登った子供の様な、
不思議な優越感に浸って。
ボクは、木の上から、
ボクを探す、アイツを眺めて、
こっそり微笑むんだ。

9/22/2024, 5:28:39 PM

声が聞こえる


俺は地に伏した。
…もう、駄目だ。
身体に力が入らない。

こんな残酷な世の中で、
今日迄、野垂れ死ななかったのは、
単に、幸運だったに過ぎない。

俺は、目を閉じた。
大きく息を吐く。

この世に執着は、無い。
こんな世の中、
生きていたって、
苦しいだけ、だ。

声が聞こえる。
彼奴が…俺を呼んでいる。

彼奴がいたから、
こんな酷い世の中で、
俺は何とか正気で居られた。

俺は、此処で、
諦める訳にはいかない。

声が聞こえる。
大切な彼奴の声が。

俺は答える。
…直ぐに、帰る。
心配するな。

俺は、目を開けた。
そして。
残された力を振り絞り、
再び立ち上がろうと、
足掻き始めた。

9/21/2024, 6:15:15 PM

秋恋



少しだけ、涼しくなった風が、
庭に咲いている、
秋桜の花を、
そよそよと揺らす。

薄紅色の秋桜。
可憐で何処か華奢な、
その姿に、秋を想う。

夏が終わり、
秋がやってくる。
秋の空。秋恋。
行き場を失った、私の恋心。

花言葉に私の想いを託して、
忘れられない、想い出の彼に、
黒い秋桜を贈ろうかな。

黒い秋桜の花言葉は…。
『移り変わらぬ気持ち』

例え貴方が、
私を忘れてしまっても、
私はまだ…。
貴方を、愛してるんだ。

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