霜月 朔(創作)

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8/30/2024, 6:15:51 PM

香水



職場ですれ違う、
愛しい貴方。
他の皆に気付かれない様に、
視線を交わし、微笑みます。

ふと、香る、
貴方の愛用する香水の香りに、
私の胸は、痛くなります。

昨夜、貴方が、
私を抱き締めて下さった時も、
この香水の香りがしました。
私はそれが幸せでした。

優しい貴方の、甘い香り。
密やかな、私と貴方の、
蕩けそうな逢瀬を彩る、
貴方の香水の香りが、
私の胸を締め付けるのです。

そして、今夜も。
私は貴方の香りに包まれて、
幸せな時を、
過ごせるのでしょうか。

でも、その時は。
昔の恋人との思い出は、
全て忘れて、
私だけを見詰めて下さいね。

8/29/2024, 6:28:51 PM

言葉はいらない、ただ・・・



ずっと、お前が好きだった。
多分、初めて会ったあの日から。

何時も、誰よりも優しくて、
心配になる程、お人好しで。
謙虚で控えめなのに、
芯はとても強くて。

俺には無い良い所を、
沢山持っている、
そんなお前は、
俺の憧れだった。

だけど、俺が、
お前への恋慕が隠し切れず、
お前を真っ直ぐに見詰めると、
お前は、顔を真っ赤に染めて、
何かを言おうとしては、口籠り、
結局、言葉を飲み込むんだ。

無理に言葉にしなくて、いい。
お前が、俺の気持ちを察した様に、
お前の気持ちは、
解っている心算だ。

だから。
言葉はいらない、ただ…。
これから先もずっと、
俺の側にいて欲しい。
そして何時か。
俺の気持ちに応えて欲しい。

8/28/2024, 7:09:00 PM

突然の君の訪問。


小雨降る、ある深夜。
突然の君の訪問。
未だに忘れられない、嘗ての恋人。

驚きと喜びを隠せない私に、
君はいきなり頭を下げた。
…ある男を助けて欲しい。
と。

…彼は君の恋人なの?
そう、私が尋ねると、
君は酷く悲しげな顔で、
首を横に振ったから。
私は、最大限の力で、
彼を助ける事を約束した。

私に感謝を述べて、
立ち去ろうとする君に、
私は、尋ねた。
…君は、彼を愛しているの?
と。

君は小さく頷いた。
そして。
…彼には迷惑な話だろうが。
と言って、淋しそうに笑うから。

…彼が振り向いてくれなくて、
寂しさに耐えられなくなったら、
また、ここに来て。
私はずっと待ってるから。

私は胸の痛みに耐えながら、
必死に、君に告げたけど。
君は何も答えずに去っていった。

君が私の事を忘れてしまって、
今は、他の人を愛していても。
それでも、私は君を愛してるから。

突然の君の訪問。
私は何時までも、心待ちにしてる。

8/27/2024, 6:13:51 PM

雨に佇む


雨が降り頻る朝。
独り森を歩く。

朝靄のような霧雨は、
次第にその雨粒を、
大きくしていった。

雨粒は森の木々の、
豊かな緑の葉を叩く。
その静かな音が、
疲れ切った私の心を、
僅かに癒やしてくれる。
そんな気がした。

私は雨が降り頻る森で、
そのまま、独り佇む。
雨を避ける事なく。
降り頻る雨が、
私の罪を洗い流してくれないか。
そう想いながら。

雨に佇む。
雨は私も木々も地面も、
別け隔てなく濡らしていく。
そう。私は、孤独だ。

私は雨降る中、
森を彷徨った。

そして。
雨で烟る森の出口に、
私を待つかの様に、雨に佇む
懐かしい人影を見た。

8/26/2024, 5:36:05 PM

私の日記帳



私の日記は、
貴方に伝えたい事で、
溢れています。
桜の花の話や、
美味しいお菓子の話。
街での噂話など。

日常の小さな出来事を、
私は、目覚めぬ貴方を想い、
貴方への恋慕と共に、
些細な想い出も、
日記帳に書き連ねていくのです。

貴方が、目覚めたら。
私が記し続けた日記帳を、
読んで欲しいです。
私と貴方が、
言葉を交わせなかった期間に、
ぽっかり空いてしまった、
二人の想い出と時間を、
日記で埋めたいのです。

そんな、思いを詰め込んだ、
私の日記帳が、
もう何冊も何冊も積み重なり、
貴方の目覚めを待っています。

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