霜月 朔(創作)

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8/13/2024, 5:37:24 PM

心の健康


身体に痛い所は有りません。
怪我はしていません。
湿疹も有りません。

身体に怠い所は有りません。
熱は有りません。
咳や鼻水も出ません。

身体に違和感は有りません。
目眩も頭痛も有りません。
寒気も有りません。

お腹は痛く有りません。
吐き気も有りませんし、
お腹を壊したりもしていません。

なのに。
何だか元気が出ないのです。
身体は健康なのに、
心は健康ではないみたいです。

心の健康は、
どうしたら手に入るのですか?

お願いです。
私の手を握っていて下さい。
ずっと私の側に居ると言って下さい。
私を見捨てないで下さい。
私は、貴方無しでは、
生きられないのですから…。

8/12/2024, 4:59:05 PM

君の奏でる音楽


音楽を聞くのが好きだった。
所謂、クラシックって言われる曲。
でも、オーケストラとか、
立派なものじゃなくて、
バイオリンとかピアノとかの、
ソロ演奏が特に好きだった。

そう。
私は音楽を聞くことが、
好き『だった』。

今は、音楽を聞かなくなった。
だって。音楽を聞くと、
私の元を去ってしまった、
君との思い出を、
思い出しちゃうから。

音楽を聞く事だけでなく、
奏でる事も好きだった、君。
私は、君が奏でる音楽も、
音楽を奏でる君も、
本当に、本当に、好きだったんだ。

もう一度。
君の奏でる音楽が聞きたい。
君と私が恋人だったあの頃みたいに。
私だけの為に、君が奏でる音楽が。

8/11/2024, 6:23:56 PM

麦わら帽子


ある夏の日。
久しぶりに見かけた、
麦わら帽子を被った幼子。

最早、麦わら帽子は、
過去の遺物なのでしょうか。
街中で見掛ける機会は、
殆ど無くなりました。

私が幼い頃は、
夏になると良く見かけた、
夏の風物詩、麦わら帽子。

私が幼い日に被っていたのは、
所々、解れのある、
飾り気の無い麦わら帽子。

夏の陽射しを避けるには、
余りに頼りなくも、
懐かしい、そのシルエット。
思い出すと、何だか、
悲しくなるのは、何故でしょう?

大人になった今。
麦わら帽子を被って、
夏の太陽の下で、
一日中、虫を追い回すには、
私は余りに擦れてしまいました。

麦わら帽子が似合った、あの頃。
帰りたくても帰れない、
懐かしい故郷。遠い記憶。

8/10/2024, 6:46:52 PM

終点


もう、逃げ場はない。
これで、終わりだ。

オレが進んできた道は、
此処で途絶えていた。
これ以上進むことの出来ない、
終点だ。

こんな塵屑みたいな運命から、
何とか逃げ出そうと思って。
必死に走って来たけど、
ここまで、か。

肚を括って、目を閉じる。
最早、ジタバタするのは、
格好悪いから、と。
最後の最後迄、お得意の痩せ我慢。

その時。誰かの声がした。
最後迄諦めるな、
ここが終点なんて、誰が決めた?
と。

前が行き止まりでも、
地面の下や空の上には、
未だ道があるかも知れない。

オレは足元を見詰めた。
さっきの声の主に会う為に、
オレはもうちょっと、
見苦しく足掻いてみようか。

8/9/2024, 8:59:29 PM

上手くいかなくたっていい

ベーキングパウダーと薄力粉を、
混ぜ合わせて、振るっておく。
ボウルにバターを入れて、
クリーム状になるまで練る。
そこに、砂糖と塩を加えて、
白くなるまで混ぜる。
溶き卵を2、3回に分けて加え、
その度によく混ぜる。
牛乳を加えて混ぜる。
振るっておいたベーキングパウダーと、
薄力粉を合わせたものを、加えて混ぜる。
これをマフィン型に入れて、
180℃に予熱したオーブンで、
20分~25分焼く。

…これでマフィンが出来る筈。
俺はオーブンの前で、じっと待つ。

しかし。
レシピ通りに作ったのに。
俺の作ったマフィンは、
見た目も味もいまいちで。

上手くいかなくたっていい。
気持ちが嬉しいんだから。

お前は微笑みながらそう言って、
俺の作った失敗作を、
美味しそうに食べてくれた。

いつか、必ず。
本当にお前が美味しいって思える、
マフィンを作って見せる。

だから。
呆れないで、もう少しだけ、
俺の傍にいて欲しい。

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