霜月 朔(創作)

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麦わら帽子


ある夏の日。
久しぶりに見かけた、
麦わら帽子を被った幼子。

最早、麦わら帽子は、
過去の遺物なのでしょうか。
街中で見掛ける機会は、
殆ど無くなりました。

私が幼い頃は、
夏になると良く見かけた、
夏の風物詩、麦わら帽子。

私が幼い日に被っていたのは、
所々、解れのある、
飾り気の無い麦わら帽子。

夏の陽射しを避けるには、
余りに頼りなくも、
懐かしい、そのシルエット。
思い出すと、何だか、
悲しくなるのは、何故でしょう?

大人になった今。
麦わら帽子を被って、
夏の太陽の下で、
一日中、虫を追い回すには、
私は余りに擦れてしまいました。

麦わら帽子が似合った、あの頃。
帰りたくても帰れない、
懐かしい故郷。遠い記憶。

8/11/2024, 6:23:56 PM