終わりなき旅
どんなに辛い事も、
手の届く所に終わりがあれば、
結構、耐えられる。
そして、辛い事は、
その終わりが見えなければ、
耐えるのは、苦しい。
ならば…。
眼の前の辛い事に、
終わりがないとしたら?
終わりなき旅は、只の苦行だ。
独りで歩くには、余りにも辛い。
その先に、明るい光が見えなければ、
尚更だ。
だから。
戻る事も逃げる事も許さない、
この終わりなき旅を、
俺が何とか歩いて居られるのは、
お前が隣を歩いてくれているから。
…そう思う。
「ごめんね」
君と、酷い喧嘩して。
ホントは仲直りしたかったのに、
素直に謝れなくって。
悪いとは思ってない、とか。
自分は間違ってない、とか。
そんな事ばかり言って。
別れたくなんか、なかった。
そんな事を思う事さえ、
何だか悔しくって。
向こうから謝ってくれないかな、
…なんて。
虫の良い事を考えたり。
でも。
喧嘩してから、時間が経てば経つ程、
二人の溝は深まっていって。
言葉を交わすどころか、
視線を合わす事さえ、無くなって。
もう一度、話したい。
出来る事なら、
もう一度、抱き締めたい。
だけど。
そんな希望は、叶う訳もなく。
だから…。
「ごめんね」
喧嘩した日からずっと、
空っぽのままの手を握り締めて、
君に告げられずにいる言葉を、
遠くに見える君の背に向けて、
そっと呟く。
いつか、君は。
こんな私を、赦してくれるかな?
半袖
夏は苦手です。
太陽の光は、容赦なく照り付け、
そのギラギラとした眩しさに、
私の暗い心は、ますます闇を濃くして。
照り付ける夏の太陽の下で、
陽気に燥ぐ、幸せな人々の声は、
容赦なく、私を追い詰め、
思わず、この世から、
逃げ出したくなってしまうから。
そして夏は、
私に半袖の服を着ることを、
強要してくるのです。
長袖の下に隠れている私の手首。
そこには無数の傷跡があります。
何年たっても消えない、
私の苦悩の跡。
夏は。半袖の服は。
私の過去の痛みの跡を、
死にきれなかった意気地の無さの証を、
白日の元へと晒すのです。
だから。
夏は…苦手です。
天国と地獄
透けるように白い肌。
浮世離れした丁寧な所作。
世の中を知らない乙女の様に、
穏やかに微笑む君の姿は、
まるで、天使のようで。
けれど。
何処か物憂げな視線。
瞳の奥に揺蕩う絶望。
華奢でありながら、仄暗い心を、
押し隠して佇む君の姿は、
まるで、悪魔のようで。
そんな君との恋は、
余りに刺激的で。
まるで、天国と地獄を
行ったり来たりしてるみたいだ。
君の、紅を差した様に朱い、
その口唇から紡がれるのは、
天使の御告げなのか。
それとも、悪魔の囁きなのか。
今夜、私は。
天国と地獄の、
どちらに居るのだろう。
月に願いを
夜、外に出て、空を見上げる。
今日は満月の夜。
いつも夜空に無数に瞬いている星々も、
満月の前では、何処か脇役みたい。
よく晴れた夜には、
孤独な日々を送るボクを、
その輝きで慰めてくれる、
大好きなきらきら星たちに、
『今夜だけは、ごめんね』と呟いて。
天高く、神々しくも寒々しい光を放つ、
青白い満月に、願いをかける。
お月様。
どうか、ボクを助けて。
ボクを空に引き上げて、
あなたの周りで、毎夜キラキラと輝く、
数多ある星の一つにして。
月に願いを。
叶うことのない願いだけど。
今のボクには、祈る事しか出来ないから。
でも。
明日の夜から、また。
満月は、少しづつ欠けていって。
そのうち、消えてなくなってしまう。
…叶わないボクの願いと、共に。