美容師になろうと決めたのは9歳…
親戚に美容師が数人いたこともあり
身近に綺麗になっていく姿を目にしていた
何より、幸せそうな笑顔が幼心にも印象的で「良いなぁ〜私も髪切りたいなぁ」
そんな風に思ってその道に進んだ…
実際、手に職をつけるとはイバラの道で…
技術だけではなく、人間関係もかなり厳しくトイレに隠れて泣いた…
あれから長い長い時間が過ぎた…美容師として人として沢山の事を学んだ。
「髪を切る」それだけが仕事ではない。
土台はやはり信頼関係に尽きる…
数十年一緒に年齢を重ねてきたお客様…
時には、カウンセラーになり友人になり
安心して過ごす特別な時間…
心の内を話す事で、髪の毛と一緒に気持ちも軽くなり、わずかな時間で顔つきまで変わるのを見て自分の選択は間違ってなかったと実感出来る…
個々に幸せな気分を満喫し、笑顔で帰って頂く事で私も幸せのオーラを頂いている。
1つの事を突き詰めると、全ての職業に共通する「終わりなき旅」は私が美容師として生きていく限り永遠に続く…
愛犬を見送って5年…
当時、私が悔いた出来事がある。
深夜2時、愛犬を抱きソファで居たのだが
その数時間後に亡くなるとは思わず途中で
寝てしまった事だ…
先がわかれば朝まで抱きしめて、私の腕の中で送ってあげたかったのに叶わなかった…
「ごめんね」と、自分を責め続けた…
ほどなくして愛犬が夢に出て来てくれた。
元気でキラキラして幸せそうだった。
小さい頃、怪我をした鼻先の傷跡で愛犬
だとちゃんと目印までつけて現れた。
悔やむ私とは真逆に愛犬に悔いはない様だった…
生前と変わらず私に甘え、撫でてあげると
ちぎれんばかりに尻尾を振り元気一杯!
きっと私を励ましに来たのだろう…
「大丈夫だから!」そう感じたのだ。
私が悔やむと愛犬も悲しむ…だから気持ちを切り替えた…
2年間介護をした自分を褒めてあげたいと
そう思った。
今は「ごめんね」の言葉は私たちにはない
あるのはお互いに「ありがとう」だけだ…
19年…長生きして幸せを沢山くれて本当に
「ありがとう」感謝してる…
そして…生涯…貴方を愛してるよ。
「半袖」の思い出は…
小学校高学年の家庭科で作った夏服
初めて型を取り、裁断してミシンで縫って
仕上げた半袖の服は、淡いピンク色で
縦に青と白の模様が混じっていた。
小さな四角い襟が可愛くて白い花形のボタンが5つ…
不思議だなぁ〜…何でこんなにハッキリと
覚えているんだろう…
「半袖」と聞かれて溢れるように思いだした…きっと自分の力で作り上げた事がよほど嬉しかったんだろう。
今の私と言えば、しまむら、ユニクロ、GU
季節が変わればお手頃に買って、1〜2年で
処分…有難みなんて買ってからの数日だ…
物は溢れているが、気持ちは貧乏になったのかも知れない…
縫い目も歪んで下手っぴだった初めての
自作の半袖…
あの時の私はキラキラ目を輝かせて、
その夏服を繰り返し大切に身に付けていた…
もう一度、そんなワクワクした服に出会い長い時間大切に着る事が出来たら幸せだろうなぁ…
私は2度死にかけた…
病気でショック状態になりほぼ心臓が止まった時だ…波形は振らずさざ波のよう…
救急車で搬送された時、サイレンの音が急に変わり「死ぬな〜!」そう叫ばれていた。病院について、慌ただしく運ばれた。
すぐに私を取り囲み必死に治療を開始した
何でこんなに詳細にわかるかって…
身体から抜け出した私がずっと見ていたからだ…その時に「幽体離脱」という特殊な体験をした…
そこには、痛くもなんともない私が居た。
むしろぎゅうぎゅう詰めの身体から抜け出し、人生で一番の開放感だった…
「魂は永遠に生き続ける」多分これは事実
なんじゃないかと感じた…
「天国と地獄」とは深いメッセージの様な気がする。
「ちゃんと生きないと地獄に行くよ」って
結局、私はいきなり身体にバン!と戻された…
天国があるかどうかはわからない…
けれど、そこから先の人生を考え直す
大きな転機になったのは間違いない…
4才の頃の記憶だ…私はど田舎育ち…
ある時、隣のじいちゃんが亡くなった。
隣とはいえ、200メートル位は離れていただろう…深夜、私が目を覚ますと
一緒に寝ていたはずの母親が消えていた…
幼い私は不安でいっぱいになった…
母親を探したが家の中にはいない。
そしてピン!と来た…隣のじいちゃんだ!
昔は夜を徹して死者を見守る…
我が家の大人達も例外なく隣に行った。
母親を探しに私は外に出た…
その日は満月だった…雲ひとつ無い空は
ものすごく明るくて、大人が一人通る位の農道がハッキリ見えた…
「母ちゃんとこに行こう!」
夜の怖さより、母がいない不安が勝った。
4才の私の背丈近い草の間を走った!
やや下の方角に明々と灯りのついた家がある…その家を目指して無我夢中で走った!
離れた隣の家に着いて「ガラッと」戸を開けた…「どうやって来た…?」
その時の大人達の驚いた顔を私は今も覚えている…
月灯りは私の足元をしっかり照らし安全に目的地に誘導したのだった…
「月に願いを」した訳ではないが
自分でも気がつかない間に「月は願いを」聞いてくれたのかもしれない…