夏子

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4才の頃の記憶だ…私はど田舎育ち…
ある時、隣のじいちゃんが亡くなった。
隣とはいえ、200メートル位は離れていただろう…深夜、私が目を覚ますと
一緒に寝ていたはずの母親が消えていた…
幼い私は不安でいっぱいになった…
母親を探したが家の中にはいない。
そしてピン!と来た…隣のじいちゃんだ! 
昔は夜を徹して死者を見守る…
我が家の大人達も例外なく隣に行った。
母親を探しに私は外に出た…
その日は満月だった…雲ひとつ無い空は
ものすごく明るくて、大人が一人通る位の農道がハッキリ見えた…
「母ちゃんとこに行こう!」
夜の怖さより、母がいない不安が勝った。
4才の私の背丈近い草の間を走った!
やや下の方角に明々と灯りのついた家がある…その家を目指して無我夢中で走った!
離れた隣の家に着いて「ガラッと」戸を開けた…「どうやって来た…?」
その時の大人達の驚いた顔を私は今も覚えている…
月灯りは私の足元をしっかり照らし安全に目的地に誘導したのだった…
「月に願いを」した訳ではないが
自分でも気がつかない間に「月は願いを」聞いてくれたのかもしれない…

5/26/2024, 12:38:35 PM