NoName

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5/29/2023, 9:38:49 AM

思い出すのは夏の前日
半袖になれない腕を抱えたあの日々

君が淡々と巻いてくれる包帯が眩しかった

痛いのは此処なんだからね、と
人差し指で向かい側の
みぞおちをトントン叩いてさ

触れたいのに触れられるのは
僕の脆く赤いとこばっかりだった

手当ての意味を知った僕が
それからずっと先の、いま

それらを懐かしく
眩いばかりのひかりみたいに、胸に抱える

5/14/2023, 10:14:40 AM

僕の中の又三郎の音と
違うことがとても嬉しかった、あの曲

文学モチーフのアルバムを
その本を読み返しながら聴いていた

初めて物語に触れたときのような
みぞおちがふわっと上がる
期待と羨望を混ぜたような心持ちがした

どっどど どどうど
どどうど どどう

5/5/2023, 6:38:35 PM

好きなひとのいない夏が来る
本棚に会いに行くのを逢瀬と呼んで

只管、本にだけ触れて

5/4/2023, 2:17:40 PM

空にも本棚があるのか
そう気付いたのは
飛ぶことにすっかり疲れて
草原に仰向けになったときだった

邪魔な羽根はシュラフがわりに身体に巻いた

手をのばすと
微かに硬い背表紙に指が触れる

読める……のか?
いまのところ
透明なまま だが?

人差し指で引き抜くと
胸にドスンと落ちてきた一冊の本

表紙は赤くファンタジーな匂いがする
蛇がお互いの尻尾を咬んで円を描いている

確かどこかで、
これを読んだような気がする

一気に眠くなった頭を
ぼんやり過ぎる何か。

(思い出せた頃にはきっと僕はそっちに居るんだろう)
(逃げ込める居場所だって君がくれたここから)

4/30/2023, 10:30:59 AM

ローソンの裏
花の名前

番台に小銭
人肌くらいの薬湯

若い人はまず来なくて
帰りにおやすみを貰える

このくらいのが日常に

いつも、いつも
あるといい。

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