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9/14/2023, 11:17:29 PM

幸せでした。
貴方と出会えて、貴方の側で貴方を支えることができて。
もし先に私が死んでしまっても、悔いはなかったんです。貴方のためにこの命が燃え尽きることは、本望ですから。
でも、貴方はそれを許さなかった。ご自分の命を燃え尽かせた。
何で、燃え尽きても良い命が残り、燃え尽きてはいけない、燃え尽きてほしくない命が消えてしまうのでしょうか。

9/12/2023, 10:45:56 AM

こんなことを言ったら、言い訳になってしまうかもしれないけれど。
私、出会った時からずっとあなたが好きだったようです。自分でも気がつかなかった。
誰もが、持っていた方が世渡りをする上で楽だと考える心を、あなたは持っていません。決して、非情というわけではないのに、どこか冷たさを感じてしまう。でもそれは、誰よりも考えているから。
ためらわずにはっきりとものを言う強さもある。
そして何より、その人を守るためにその人を傷つけることができる。
だから、誇り高くありたい私はあなたに屈して、あなたに本気の恋をしたのだと思います。

9/11/2023, 1:02:18 PM

「はい」
「…何これ?」
「カレンダー」
「…何で?」
可愛いキャラクター達があしらわれたカレンダー。
うざったらしいほどのきらきらした笑顔で、あの子は、不老不死の私に差し出してきた。
「私、日数とか年数とか気にする次元を超えてるんだけど」
今でさえ、この世に生を受けてから100年近く経っている。いちいち時を数えるのも冷めるというものだ。
「そうじゃなくて!ここに、たくさん予定を書いて実行していくの。予定を考えてるだけで楽しいだろうし、毎日も充実するよ!」


そう言われてから、もう500年が経った。相変わらずこの体だけは全く変わらない。私に唯一笑いかけてくれたあの子は、ずっとずっと昔に死んだ。
カチリとペンをノックして、500日目の予定を考える。
『首を吊ってみる』と書いた。
やっぱり全然楽しくない。

9/11/2023, 12:53:36 AM

貴方の決意に、何と言えばいいのか分からなくて。
ただ二つ、言うことがあるとすれば。
貴方に、生きてほしかった。
大好きです。

9/7/2023, 5:28:38 AM

「余命1年です」
私は、ご家族の前でその時を告げた。
本人の少女は、ナースステーションの近くにあるプレイルームで遊んでいる。
無機質で何もないこの部屋で時を告げるのは、一体何度目だろうか。
「…もうあの子は、助からないんですか?」
少女の母親が、震える声で聞いた。父親は覚悟をしていたのか、それでも苦しそうに目をきつく閉じている。
「…まだあと1年くらいは、時間があります。ですが…」
言葉が詰まる。何と言えばいいのか。
一つため息をついて言った。
「明日、何かない保証はありません」
そう言った時、この無機質な部屋を唯一飾り立てていたアンティークの掛け時計が、ぽーん、と時を告げた。

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