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「余命1年です」
私は、ご家族の前でその時を告げた。
本人の少女は、ナースステーションの近くにあるプレイルームで遊んでいる。
無機質で何もないこの部屋で時を告げるのは、一体何度目だろうか。
「…もうあの子は、助からないんですか?」
少女の母親が、震える声で聞いた。父親は覚悟をしていたのか、それでも苦しそうに目をきつく閉じている。
「…まだあと1年くらいは、時間があります。ですが…」
言葉が詰まる。何と言えばいいのか。
一つため息をついて言った。
「明日、何かない保証はありません」
そう言った時、この無機質な部屋を唯一飾り立てていたアンティークの掛け時計が、ぽーん、と時を告げた。

9/7/2023, 5:28:38 AM