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9/5/2023, 9:57:16 AM

恋をした。
そうしたら、周りの景色がガラスや透明なものを通して見ているみたいに、きらめいて見えた。
きらきらきらきら。何だっけ、この感覚。
…ああ、思い出した。遊園地のメリーゴーランドだ。
きらきらきらきら。馬に乗って、きらめく電飾の中を巡っていく。一周したら、馬の上から見える景色は同じなのに、なぜだか飽きずに首を回して同じ景色を見る。
それとそっくり。いつも見ている景色なのに、こんなにきらめいて見えるなんて。
恋はメリーゴーランドみたいな幻想かもしれないけど、悪くはないかもしれない。

9/3/2023, 9:37:30 AM

明日は何時に起きようか。
明後日は何をしようか。
その次は何を食べて、その次はどこに行こうか。
暗い場所で、小さな蝋燭の灯火が灯る。
希望とは、生きているということ。
光の見えない心の中で、ぽつぽつと灯火が灯るということ。

8/30/2023, 2:08:28 PM

友達から誕生日プレゼントにもらった、レモンの香りの香水。それから逃げるようにベランダに出て、煙草に火をつける。煙をくゆらせて、焦げた匂いで鼻に残っていた酸味の香りを誤魔化した。
あの人は、微かにレモンの匂いがする人だった。
「香水?柔軟剤?」と尋ねても、「何もしてない」と困ったように笑う人。爽やかに透き通っているような人。その人の匂いを嗅ぐと、自分も明るくなれた。
だから私も、レモンの香りが好き、だった。
棺で眠っている彼と出会った時、もう私が好きなレモンの香りはなくなったのだと悟った。それからは、煙草の臭いで自分の中を汚していった。彼はもういないのだと言い聞かせるように。レモンは腐ってしまったのだと言い聞かせるように。
美味しいはずの煙草が、何故か苦く感じて興ざめになる。ベランダの床に置いてあった灰皿に、煙草をぐりぐりと押し付けて、頭を掻きながら部屋に入った。
机の上で、ふわりとレモンが香る。何年も蓄積された汚れが、さらりと簡単に流されていく。
それが気持ちよくて、でも苦しくて、涙が止まらなかった。

8/30/2023, 3:01:53 AM

言葉はいらない。ただ、私にしかないものを見つけてくれたら良かった。私が見つけた私だけのものを、ちゃんと理解してほしかった。
そうしたら、私も少しは私を愛することができて、あなたを愛することが、できたのかな。

8/28/2023, 3:34:25 AM

ぼつぼつと、少し重さのある雨粒が服の袖を濡らしていく。
傘を忘れた。
一度目、駅に向かう途中で降られる。二度目、最寄り駅に着いて家へ向かう途中で降られる。
心の中で、壊れたようにあははと笑う。
そういえば、昔の映画で男性が雨の中楽しそうに踊っているのを見た記憶がある。
スマホで検索してみると、『雨に唄えば』と出てきた。YouTubeで動画をタップすると、イヤホンにお洒落なメロディが流れる。それにのって、軽やかなリズムで歩き出した。
どうせ笑うなら、やっぱり楽しく笑いたい。
イヤホン、家に着く頃には壊れているだろうな。
あはは。

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