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8/17/2023, 10:52:51 AM

こんな人生、本当に嫌だって思うことも。
この世界から、逃げ出してやりたいって思うことも。
他人なんか知らないと、冷たく荒んでしまうこともあるけれど。
それでもやっぱり、大好きなもの、大好きな人達といると、捨てたもんじゃないなって思っちゃうんだよねえ。
なんて単純なんだろう。
愛おしいと思う気持ち。いつまでも捨てられないし、捨てたくない気持ち。

8/15/2023, 1:45:03 PM

砂浜を恐る恐る踏みしめて歩いて行く。サンダルの隙間から入り込んでくる砂が、モゾモゾして気持ち悪い。
でかでかと"ココ!"と記された地図をぎゅっと握りしめ、眉間を寄せた。
姉が亡くなって遺品の整理をしていたら、折られた地図が出てきた。表紙には、『良いものがビーチの岩場のところにあるよ!夕方探検してみよう!』と赤色のクレヨンで説明が書かれていた。そのため、観光客のいない夜に、家の目の前に広がる海へと来たのだ。
母子家庭の家だった。5歳上の姉がいつも面倒を見てくれていた。私はしょっちゅう姉に引っ付いて駄々をこねていた。多分この地図も、我儘な私を退屈させないためにつくってくれていたのだろう。
ふと足を止めた。一応目的地に着いたが、一体何があるのだろう。…待て、岩場の中心が青く光っている!
足を動かして中へ入ろうとした時、慌てて急ブレーキをかけた。
これは、…ウミホタルだ!
そうだ。幼かった私は、テレビで綺麗なホタルの光を見て、姉に「ホタルが欲しい!」とねだったのだ。優しく宥められても諦められなくて、姉をひどく困らせてしまった。寧ろ姉にとって、本当に面倒くさい妹だったと思う。
でも姉さんは、ずっとずっと、私にたくさんのものを与えてくれていたのだ。それも返しきれないものばかり。
姉さん。ねえさん。
おねえちゃん。

8/11/2023, 8:58:24 AM

終点の、最後尾の車両。
ストンとホームに降り立って、ゆっくりと階段へ歩き出した。
終点の二駅前から、この車両には誰もいなくなる。それが何だか心地良い。色々な人の身体や気持ちを乗せた空間が、時間になると自分だけの世界になるようでほっとする。
何を見ても、何に夢中になっても誰も文句を言わない。
それを心地良いと思ってしまうのだから、大概私は心の狭い人間だ。

8/9/2023, 11:51:20 AM

《上手に喋るにはどうしたら良いですか》
吃音だという、リスナーの少女からそういうメールが届いた。
「吃音、吃音、ねえ…」
「なんか、落ち着いてリラックスすればいいんじゃないですか?」
ラジオブースにいる他のメンバーは、上手く答えができずに困っている。ちらりと表情を見れば、皆一様に眉尻を下げていた。
目の前のマイクに拾われないよう、そっと静かにため息をついて、口を開いた。
「喋りに上手いも下手もないですよ。そりゃ人を楽しませる話術とか、そういうのが必要な場合はあるかもしれない。仕事上とかね。でもまず何よりも大切なのは、自分の思っていること、考えていることを伝えようとすることじゃあないですかね。それがなきゃ、どんなにギャグセンスとかが高くても意味がない。上手くなくてもいい。下手でいい。ただ君の真っ直ぐな言葉がきちんと伝わったら、どんな内容でも相手は笑顔になると思いますよ。現に私達は今上手く答えを喋れてませんでしたしね」
「おいー!俺頑張ったんだけどー!」
先程リラックスすれば…?と言ったメンバーがぶすくれて、他のメンバーも「調子に乗るな」と笑い出す。困った空気を上手く変えたので、それにのっていこうと考えたのだろう。呑気なものだ。
リラックスして上手に話せるなら、私だってあの時苦しんだりしてなかった。

8/6/2023, 10:10:21 AM

君は、太陽みたいに素直な子だったね。思ったこと、感じたことをそのまま言える。私は何も考えてないなんてひどいこと思ってたけど、ホントの本音は君の太陽みたいな素直さが羨ましかったんだ。
好きなものを、はっきり好きと言える。物事をありのままで受け入れて、面白いと笑える。
私にとってはすごく勇気のいるそれを簡単にできる君は、私の太陽でした。

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