公園でボール遊びしたね。
ドッヂボールも強かったね。
中学の大会の最後の一点、悔しかったね。
ローカルチームにもスカウトされてたね。
インターハイでも活躍してたね。
ねえ、貴方はどこまで行くの?
私の手の届かないところまで、
どこまでも高く高く、
私が見ていた貴方はもういない。
幼馴染で、マネージャーと選手で、
そんな関係が続いてほしかった。
今じゃ、ただのファンと選手だよ。
貴方がいなくなって、これが詠むべきものかって気づいた。
どうせ私はただのお遊びだって思われてたのだろう。
それでも私は貴方を愛していた。
貴方に歌を送る。
返歌なんてはなから期待してないけど、貴方の好きだった花を添えて送るわ。
よく、そんな殿方のことは忘れなさいって言われる。
馬鹿らしい。
忘れられるならとっくに忘れている。
それでも忘れられないのはまだ貴方を愛しているから。
新しい人に愛を消費するくらいなら私の中に閉じ込めておきたい。
だから、一人でいたい。
花咲いて
君はまるで桜のようだ。
昨年の葉桜は君の生まれ変わりのようだった。
一昨年だったな、君が僕を花見に誘ってくれたのは。
「来年も一緒に、この公園で。」そう遺して君は居なくなった。
世の中に絶えて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし
僕はこの歌が好きだった。
でも君はこう言った。
「花が咲いて散る。私たちはこの当たり前さに惹かれるの。この世に長く続くものなんてない。花は散り際が最も美しい。」
そんな訳ないだろう。
僕は君の散り際なんて思い出したくもない。
君との思い出だけを想っていたい。
だって君の散り際を忘れられる訳がないから。
空は魅惑的だ。
どこまでも高く続く青に浮かべた白い雲に乗って旅をしたくなる。
可視光線が僕らを照らす。可視光線が最も強い青だけがオゾン層に反射して空が青くなる。
なんて、そんな理屈っぽい考えは嫌いだ。
雲は誰の想いを乗せて旅をしているのだろうか。あの青はいつまで続くのだろうか。
そんな浮ついた考えでだって生きていける。
そう、僕らの人生は雲に乗って旅する者の投影なんだ。
夏といえば青という価値観が定まったのはいつだろうか。
冬よりも空の色が濃い。
花と散った彼女に向けた恋。
夏という季節で叶わなかったこの恋は何よりも青臭いものであった。
まだ未熟で青い僕達は青い季節に青い思い出を創る。
だから夏は青色なのだ。