桜井呪理

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7/22/2024, 5:23:51 AM

私はここに住んでいる。

昔は楽しかった。

毎日のように彼は遊びにきた。

私と一緒に歌を歌って、みんなに上手だと褒められた。

最高だった。

何十年もそうやって過ごした。



ある日、彼が来なくなった。

虹色の窓を覗いても、彼は見当たらなかった。

なんで来ないの。

そう思いながら、ひたすら待った。

チャイムが鳴った。

ドキドキしながら外を見る。

彼じゃない。

外から声が聞こえる。

耳を澄ました。

「あの子ったらこんなもの使ってたなんて。
 早く削除しなくちゃ。
 全く、事故で家族全員逝ったのはいいけど、こんな   
 もの残すんじゃないわよ」

削除?

彼はもういない?

私の混乱をよそに、私の部屋が消え始めた。





助けて

その時だった。

私の部屋の消滅が止まった。

「はあ?ロックがかかってんじゃない!
 しょうがない。そのまま捨てるしかないわね。」

ロック。彼が助けてくれたんだ。

そう思った。

私はボーカロイド。

もうすぐ私のいた世界 パソコンは燃やされる。

でもいい。

私は彼 ボカロP であるあの人のいない世界にいたくない。

だって

こんなロボットみたいで、感情のないと言われる不器用な私を愛してくれる人なんて、

彼以外いないから。

私が一番欲しいものは、彼の愛だけ。

もうすぐ会えるから。

今度こそ本当に消えるこのパソコンの中で、私は呟き、


消えた。



7/21/2024, 2:41:33 AM

私に名前はない。

0039という数字だけ。

なぜかって?

私は人造人間だから。

私のいる組織では、人造人間が作られる。

作ったそれには記憶がなく、抜け殻のような状態。

その抜け殻に人格と記憶を植え付ければ、人間が出来上がる。

それを、子供をなくして悲しんでいる大人に売りつける。

そういう組織。

でも、私は失敗作。

作られた時に人格があったから。

みんな新しい親?なところに行く。

みんな名前を呼ばれる。

いいなあ

いいなあ

ねえ誰か名前を呼んで

0039じゃない

なんでもいいから名前をつけてよ。

そんな願いは

多分一生叶わない。

7/21/2024, 2:28:59 AM

授業中

視線の先は黒板


ではなく

愛しのきみ

僕の視線に気づくと君は、にっと笑って、小さな落書き用紙を見せつけた。

何を書いたのだろう。

そう思って彼女からもらった紙を開きかけた。




目が覚めた。

なんで夢は一番いいところで覚めるのだろう。

今日は彼女に終わりを告げる日。

僕の横には、もういない彼女の抜け殻があった。

一人にしてごめん ほんと

僕もそっち側に行くから。

ナイフを持った手で、そう呟いた。

ふと僕は、夢に出てきたあの紙が、そこに置いてあることに気がついた。

なんともいえない気持ちで、すがるように紙を開く。





なんだよほんと

そっち側に行きたいのに、

いけないじゃん。

泣きながらそう言う。

やっと顔を上げた僕の目線の先に、見えないのに、彼女がいる気がした。



7/7/2024, 9:54:11 AM

天の川の下

愛を叫ぶ

この世ならざぬ君にも

会える気がする














そんなわけないのに

7/4/2024, 1:08:07 PM

彼女が死んだ

僕のせいで 

僕は拳銃で死のうとした

それなのに

手が震えた

銀色の玉は

彼女の額を

突き抜けた

僕らは殺し屋

親のいない僕らは

ここにきて

恋を知った

ここから逃げたい

でも

逃げられない

だから

死のうとしたのに

僕も

彼女を追いたい

拳銃を額に当てた

手が震える

まだ、彼女のところに行くのは許されない

きみに会える日がいつかは

神のみぞ知るのだろうか、

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