桜井呪理

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授業中

視線の先は黒板


ではなく

愛しのきみ

僕の視線に気づくと君は、にっと笑って、小さな落書き用紙を見せつけた。

何を書いたのだろう。

そう思って彼女からもらった紙を開きかけた。




目が覚めた。

なんで夢は一番いいところで覚めるのだろう。

今日は彼女に終わりを告げる日。

僕の横には、もういない彼女の抜け殻があった。

一人にしてごめん ほんと

僕もそっち側に行くから。

ナイフを持った手で、そう呟いた。

ふと僕は、夢に出てきたあの紙が、そこに置いてあることに気がついた。

なんともいえない気持ちで、すがるように紙を開く。





なんだよほんと

そっち側に行きたいのに、

いけないじゃん。

泣きながらそう言う。

やっと顔を上げた僕の目線の先に、いないはずなのに、彼女がいる気がした。



7/21/2024, 2:28:59 AM