私に名前はない。
0039という数字だけ。
なぜかって?
私は人造人間だから。
私のいる組織では、人造人間が作られる。
作ったそれには記憶がなく、抜け殻のような状態。
その抜け殻に人格と記憶を植え付ければ、人間が出来上がる。
それを、子供をなくして悲しんでいる大人に売りつける。
そういう組織。
でも、私は失敗作。
作られた時に人格があったから。
みんな新しい親?なところに行く。
みんな名前を呼ばれる。
いいなあ
いいなあ
ねえ誰か名前を呼んで
0039じゃない
なんでもいいから名前をつけてよ。
そんな願いは
多分一生叶わない。
授業中
視線の先は黒板
ではなく
愛しのきみ
僕の視線に気づくと君は、にっと笑って、小さな落書き用紙を見せつけた。
何を書いたのだろう。
そう思って彼女からもらった紙を開きかけた。
目が覚めた。
なんで夢は一番いいところで覚めるのだろう。
今日は彼女に終わりを告げる日。
僕の横には、もういない彼女の抜け殻があった。
一人にしてごめん ほんと
僕もそっち側に行くから。
ナイフを持った手で、そう呟いた。
ふと僕は、夢に出てきたあの紙が、そこに置いてあることに気がついた。
なんともいえない気持ちで、すがるように紙を開く。
なんだよほんと
そっち側に行きたいのに、
いけないじゃん。
泣きながらそう言う。
やっと顔を上げた僕の目線の先に、いないはずなのに、彼女がいる気がした。
天の川の下
愛を叫ぶ
この世ならざぬ君にも
会える気がする
そんなわけないのに
彼女が死んだ
僕のせいで
僕は拳銃で死のうとした
それなのに
手が震えた
銀色の玉は
彼女の額を
突き抜けた
僕らは殺し屋
親のいない僕らは
ここにきて
恋を知った
ここから逃げたい
でも
逃げられない
だから
死のうとしたのに
僕も
彼女を追いたい
拳銃を額に当てた
手が震える
まだ、彼女のところに行くのは許されない
きみに会える日がいつかは
神のみぞ知るのだろうか、
窓から見えるきみの横顔
美しい
美しいのに
きみは気づいてくれない
僕は死人
墓にある小さな窓から
きみを見つめる
気づいて
気づいて
触れたい
触れたい
きみの心の臓まで食らいたい
僕のことを見てくれないきみは嫌い
そうして
きみの首筋に
僕は噛みついた