憂鬱な梅雨には、紫陽花が咲く。
鮮やかな青色をした紫陽花に、私は今日も話しかける。
大好き大好き大好き。
この花を愛するのには、私には愛する人がいたからだ。
今日みたいな梅雨の日、大好きだった彼に、別れを告げられた。
正直もう君に縛られるのは限界だと、もう愛せないと、そう言われた。
悲しくて悲しくて、憎らしくて憎らしくて、許せなくて、気がついたら、小さなナイフを握った手が、カレの体に触れていた。
今日も私は紫陽花に話しかける。
この紫陽花が生きている限り、私は彼と生きられるのだ。
だーいすきだよ、カレ❤️
甘ったるいその声で、私はつぶやいた。
好き、嫌い、好き、嫌い。
貧相な花をちぎりながら、そう呟く少女がそこに1人、佇んでいた。
なんだか、どこかで見たことがあるような、そんな感じがしたから、なんとなく話しかけた。
何をしているのと、そう尋ねると、少女はこう言い放った。
すきだったひとをね、さがしてるんだぁ
でもね、みつからないの
だから、おはなさんに、そのこのことを、おしえてもらってるんだよぉ
その瞬間、僕は小さい時に好きだった子のことを思い出した。
その子もよく花占いしてたっけな。
そうぼんやりしていると、少女にどうしたのだと話しかけられた。
僕は、ただ昔のことを思い出したのだと言い、つい詳しく話してしまった。
その時だった。
少女の姿が変わり果て、一瞬のうちに僕を飲み込んだ。
ああ、やっと見つけた。やっと一緒だと、少女は言った。
そういえばあの子は死んだはず。
じゃあこの子は、、、
その真相を、僕は知る由もなく、飲み込まれていった、、、
今日も私は屋上に立つ。
毎日毎日毎日毎日星空を見上げて呟く。
ああ、今日も見つからない
ここに越してくる前、ある少年と星空を見た。
少年は、夜空にぼんやりと輝く二つの星を、自分たちみたいだと言って笑った。
私が引っ越す時、彼は、この星が見える限り、僕たちは繋がっているのだと、また会えると、泣きながら言った。
私も、好きだと言ってあげられなかった彼にもう一度会いたかった。会いたくてたまらなかった。
だから私は星を探した。
でも、いくら探しても、あの星は見つからなかった。
どれだけ探しても、鬱陶しい音々の光に隠れて、あの星は消えてしまった。
もう彼には会えない、、、、
そんなどうしようもない現実を突きつけられた気がして、私は泣いてしまった。
テスト勉強、毎日の宿題。
目まぐるしい日々に追われて、やることばかりが増えていく。がむしゃらに頑張って、言いたいことも我慢して、いつの間にか愛してるの言葉さえ失って、気づけば何もなくなっている。
やりたいことだって、たくさんあったはずなのに、
気づいたら全て消え去っていた。
いつか幸せになるから。いつか報われるから。そうやって今日も無気力に動いている。
そんなの、本当の幸せだと言えるのだろうか